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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第二章:空に手を伸ばすこと その弐
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仲とまでなった。
 そんな中、洛陽方面から来た商人と道話をした時、面白い情報をもらった。『蒼天已死黄天當立歳在甲子天下大吉』のもと各地で蜂起が始まったらしい。遂に黄巾の乱が始まったと、情報を得た仁ノ助はこのように思った。既に洛陽とそれに通じる関所は厳戒態勢であり、正式な通行許可書を携えていないと近づくこともままならない。宦官達は賊達の蜂起を一瞥してたかが貧民風情がと侮っていたのだが、その蜂起の規模の大きさに驚いて自らの懐を守っているという感じである。
仁ノ助は史実の出来事が正確に起きていることに一先ずの安心をした後、
 騎都尉、つまりある程度の兵権を持ち独立軍を動かせる重職として潁川に赴くはずの曹操に目をつけて、先回りをしようと行動をしていたのである。しかし現在位置からは若干歩みを速めないと曹操軍が戦いを始めてしまい、自分が戦う姿を認めてもらえないと危機感を募らせたのか、若干の強行軍を敢行することを決めて、二人は馬に鞭打って山中に足を入れたのであった。

「うぅぅ・・・・・・やっぱり冬の山は無理だったのよ・・・・・・」
「・・・いけると思うんだけどなぁ・・・」

 ぶるぶると体を震わせて詩花が弱音を吐く。それもそのはずで彼女はいわば半袖半ズボンの格好をしており、どうみても山中を抜けようとする者のする格好ではないことが明らかである。仁ノ助は外套で身を覆っているために寒さにはある程度の抵抗があるが、彼女はそうではない。ちょっとした風が吹度に風に体をびくりと震わせる。
 楽観的な見方をする仁ノ助をじろりと睨んだ彼女は、天を仰ぐように空を見つめて、寒さを気にしないかのように宙を舞う鳥の姿を認めた。その瞬間、彼女の脳裏には画期的な考えが閃く。わなわなとふるえる口元に不敵な微笑をたたえて言葉を紡いだ。

「ねぇ知ってる?わ、渡り鳥は寒さから逃れるために遠くへ飛んでいくって・・・・・・」
「本当かよ?」

 彼は頭にわいた疑問を口に出す。
 渡り鳥は、食糧・環境・繁殖などの目的に応じて定期的に長い距離を渡る鳥だ。彼女の言うことは確かにその通りではあるが、渡り鳥の性質そのものを指した言葉ではない。彼女が言いたいのは、『凄く寒いから、山から降りない?』ということだ。そんな彼女の心の叫びを体現するかのように、顔、特に唇がわなわなと震えて青くなっていおり、目は今私生死の狭間で泳いでいますと主張するかのように若干血走っている。予想以上に必死な彼女に若干引きながら彼は問う。

「じゃぁ代わりにどうする気なんだ?」
「ふ、ふふふ。渡り鳥は暖かいところに行くのよ。だ、だから、わわ私たちもそれ、それを追いかけるの!!」

 山中の寒さを強調するように演技っぽさが滲み出しながら体の震えを大きくする。そこまでするくらい寒くないはずなのだが、一刻も早くここ
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