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その日、全てが始まった
第1章:出会い
第04話 『動き出した歯車』
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「なんで……?」
「詳しい事までは俺自身も聞かされていない。だから、そこに関してはなんとも……」

 そう答えた洸夜は、顔を若干俯かせ続ける。

「で……そんなことがあったから、父さんと母さんは俺に普通に生きて欲しいと思ったんだって」
「それは分かったけど、なんでそんな変装みたいな……」
「周囲に馴染む為……だよ」
「馴染む……?」
「……何処にでも居る普通の人間。それになる事が目的って言った方が分かりやすいか」

 顔を上げた洸夜は、机の上のエナジードリンクを手に取った。

「あまりこう言うのは良くないけど……2人みたいな髪色や瞳の色はとても目立つ。特に男子となれば余計に」

 そう言って洸夜は、エナジードリンクを口に含んだ。

「……お兄ちゃん」
「んッ、なんだ?」

 エナジードリンクを飲み込んだ彼は、日菜に尋ねた。

「さっきの言い方的に、お兄ちゃん髪色まで変えてるの?」

 エナジードリンクの缶を再び机に置いた洸夜は言った。

「そうだ。元々の髪色は2人と同じ色」
「でも、周囲に溶け込む為に茶色に染めた……と」

 紗夜の言葉に、洸夜は頷いた。

「そう。でも、髪を染めてる今の理由は、学校の校則に引っかかるからが1番大きいな」

 そう言った洸夜は、眼鏡を掴むと再び掛け直した。

「話が逸れたか。まあ、いいや。で、この話でまだ質問ある?」
「あ、私聞いてもいい?」
「どうした日菜」
「お兄ちゃんはいつから髪染めてるの?」
「……小学校の時位からだったかな。まあ、その時は偶に染める程度だったが」

 あ、と言って洸夜は続けた。

「中学の時は1回も染めてないな。代わりにウィッグ着けてた。だから染め始めたのは大分前だけど、本格的に染めてるのは最近からかな。と、まあこんなところか」

 再びエナジードリンクを手に取った洸夜は、その中身を飲み干した。

「じゃあ、次の話に移るか」

 空になった缶を机に置いた洸夜は、口を開いた。

「これは、絶対2人には伝えないといけないと思った事だから今この場で伝える」

 洸夜は、2人の方を真っ直ぐ向いて言った。

「俺、もう一度舞台(ステージ)に戻る。バンドメンバーとして」
「本気……なの?」

 洸夜はゆっくりと、それで持って力強く頷いた。

「本気だ。俺は、もう逃げ出さない。背を向けないって決めたんだ。だから、2人も俺のことを見守って欲しい」
「勿論よ」
「私も」

 2人はそう言って頷いた。

「ありがとう」

 そう言った途端、洸夜の携帯電話が振動した。

「……ん?」

 洸夜は携帯を手に取った。

「どうしたのお兄ちゃん?」
「電話だ。話してくる
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