008話 夜空を照らす剣製の弓
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音とともに攻撃がなぜ止まったのかを確認すると妖怪の胸にはよくシスターなどが首にかけている十字架のような剣が突き刺さっており、その妖怪は人には理解不能なうめき声をあげ、次の瞬間には剣を中心に炎が広がって全身を燃やしながら妖怪は塵となって消えた。
いや、あれは消えて還ったのではない。まさしく消滅したのだ。
その光景に呆気にとられていると携帯が鳴っていることに気づいて出た。
『大丈夫だったか桜咲!?』
「あ、はい……私はなんともありませんでした。ですがあの剣は一体……?」
『黒鍵という俺達の世界では魔的なものを滅ぼす概念を持っているんだ。それを矢として放った。奴には申し訳ないが咄嗟のことでもあり火葬式典という術を使い消滅させた』
「やはり…」
『とりあえず合流しよう。そのときにまた詳しく話すとしよう』
「わかりました」
私は士郎さんと合流した後、士郎さんのその命中精度について聞いてみた。
「俺の放つ矢は中てるんじゃない。すでに中っているんだ」
「中っている、ですか?」
「そう、標的を目に捉え瞬時に中っているイメージをしてから矢を放つ。
だから中るのは必定。
外れるのならば、それは何処かで失敗しているだけか、もしくは桁外れの標的に中るというイメージがわかない時だけなんだ」
「そうですか、勉強になりました。それで次に先ほどの剣のことですが……」
「さっきもいったが俺達の世界には概念武装というものが存在する」
「概念武装ですか?」
そういえばよく士郎さんは概念とかを説明していたな。
「例えばだ。吸血鬼といったものは銀の鉛玉というものを受ければ死ぬという仮説があるが実際そんなに効果はない。
だが、概念武装とは決められた事柄を実現にするという固定化された魔術礼装。
物理的な衝撃ではなく概念、つまり魂魄の重みによって対象に打撃を与えるという物をいうんだ。
だから先ほどの黒鍵には魔的なものを滅ぼすといった概念武装が備わっているから最後の奴はその概念ゆえに消滅したわけだ。理解できたか?」
「ええ、なんとなくですが……ならば先程の例を言いますとその概念がこもっていれば吸血鬼も倒せるということですか?」
「結果的には、な。強力な敵ではそう簡単にいくものではない。まあ、とりあえず今日はここまでにしておこう」
「わかりました」
「では、学園長に連絡し帰るとしようか」
「はい」
やはりこの方に師事して正解だったかもしれない。
まだ隠しているものがありそうですが信用に足るに十分な方だ。
……この方になら私のことを話しても、いや、止めよう。
このような話をしても士郎さんを困らせてしまうだけだ。
だから……。
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