暁 〜小説投稿サイト〜
その日、全てが始まった
第1章:出会い
第03話 『再起』
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
に引っ越すことを打ち明けたらな」
『……なるほど。分かった。俺は正直に話してくる』
「ん。まあ、そう言うことだから、なんかあったら連絡してくれ」
『うん。あ、最後に1ついいかな?』
「なんだ?」

 突然の事に、洸夜は僅かだが動揺していた。

『どうして……連絡先を置いていったんだい?』

 それは、洸夜としてはあまり聞いて欲しくなかった事であった。

「……気まぐれにしか過ぎない。それだけだ」
『そう言うことにしておくよ。じゃあね。俺はいかないとだから』
「……んな?! ちょ、おい……」

 そうして通話は終了してしまった。

「……マジかよ」

 呟きながらも、洸夜は席へと戻る。

「えっと……洸夜は、またバンドをやるの?」

 リサが洸夜へと問いかける。

「……さっきの聞こえてたのか」
「ええ。全部ね」

 溜息を1つ吐いた洸夜は、改まって言った。

「そうだ。俺はもう一度やってみようと思う。さっき、湊に言われた通り、今までずっと逃げてきただけだったからな」

 それに、と言って洸夜は続けた。

「……俺は試してみたいんだ。自分の実力で、どこまで通用するか。だから、俺はステージ(あの場所)へともう一度戻る」

 そう言った洸夜の言葉は、多大な覚悟を秘めていた。

「……随分と急な話ね」

 友希那は、洸夜へと言った。

「かもな。でも、さっき2人に言われて自分に嘘ついて生きるのはやめようと思ったんだ」
「その結果が、再びバンドをやるってことなの?」

 洸夜は頷いた。

「本当は……もっと音を奏でたい、ってずっと思ってた位だからな」
「そっか。じゃあ、また洸夜の演奏が聴けるのかー」

 リサがそう言った。

「まあ、そうなるのかな。後???」

 洸夜は、友希那の方へと向き直った。

「この前は、悪かった。カッとなって変なこと言った事……」

 そう言って、頭を下げた。

「良いわ。別に気にしてない」

 その言葉を聞いた洸夜の脳裏には、一瞬だけだが『ツンデレ』なる言葉が浮かんだ。

「……何か変なこと考えてないかしら?」
「……何も」

 内心ドキリとした洸夜であったが、何食わぬ顔のままそう答えた。

「あ、そうだ。洸夜、連絡先交換しよー!」
「……何で?」

 リサにそう言われた洸夜は、豆鉄砲を食らったような顔をした。

「いいじゃん。減るものでもないし」

 そう言われた瞬間に、『容量が減る』と言いかけてしまったが、グッとその言葉を飲み込んだ。

「……仕方ないな」

 そう言って、洸夜は携帯を取り出す。

「……これの連絡先でいいか?」

 某トークアプリの画面を見せながら
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ