第1章:出会い
第03話 『再起』
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「……お前に言われて初めて気付いたよ」
洸夜がそう答えるのと同時に、携帯電話が振動した。
洸夜は不思議に思いながら携帯を取り出した。
そこには、メールの受信を伝える画面があった。
彼は、そのメールを開いた。
送り主は???磯貝拓巳。
彼は即座に本文へと目を通す。
『今日はいきなり押しかけたことを申し訳なく思う。だけど、こちらも引けない状態にあった。我儘であることは重々承知しているが、それだけは分かってもらいたい』
そう記されていた。
「……悪い、ちょっと電話してくる」
洸夜は、そう言って荷物を置いたまま、席を立つと少し離れたところへ移動する。
そして、電話をかける。
数コールの後に電話が繋がる。
『もしもし?』
「もしもし、磯貝の電話……であってるよな?」
『あってるよ。どうかしたのかい、氷川君』
「ちょっと、謝りたくて……」
そう言った洸夜は続けた。
「さっきはその……いきなり怒ったりして悪かった」
『気にしてない。こっちこそいきなり押しかけたのにあんなこと言ってごめんよ』
「こっちも気にしてない」
で、と言って洸夜は尋ねた。
「磯貝は、何でアイツらに何も言わないんだ?」
その言葉の後、僅かな沈黙があった。
『俺は……アイツらに打ち明けるのが怖いんだ』
「何でだ?」
間髪入れずに洸夜は聞き返した。
『アイツらがどんな表情をするのか。どんなことを言うのか。それが、わからないんだ』
洸夜は、拓巳の言葉に納得していた。
「なるほど。だから、切り出そうにも切り出せなかった、と」
『……そう言うことだ』
電話越しの拓巳は、歯切れ悪く答えた。
「……でもさ、それはアイツらには言わなきゃいけないことだろ?」
拓巳の返事はなかったが、洸夜は構わず続ける。
「代わりを探す云々以前に、どうしてそうなるのかをちゃんと説明しなきゃ俺はダメだと思う」
『氷川君の言う通りだな……』
電話越しの拓巳は、そう返してきた。
「……わかった。こうしよう」
唐突に洸夜が言った。
「俺は、お前の代わりにバンドに入る」
『……?!』
その一言に、電話相手の拓巳は愚か、洸夜の少し離れたところに居るリサと友希那も驚いていた。
『き、急にどうしたんだい? さっきはあれ程までに拒んでいたのに……』
拓巳の言葉に、洸夜は決意のこもった口調で言った。
「もう、目を背けて逃げ出すのは止めにしようと思ってね」
『そうか……。でも、本当に頼んでいいのか?』
「もちろん」
だが、と言って洸夜は続ける。
「そっちが、他のバンドメンバー全員
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