第1章:出会い
第02話 『剥離』
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川洸夜。何処にでも居るしがない高校2年生だ。序でに言うと、ここのアルバイト店員でもある」
そう言って、そっぽを向いた。
「で、なんで俺がお前の代わりに活動を続けなきゃいけないんだ?」
洸夜は、本題を切り出した。
「実は……俺は近々この街を去るんだ」
「引っ越すってことか?」
洸夜の問いかけに、拓巳は頷いた。
「そう。ここから遠いところへ。だから、俺は必然的に彼らとバンドを続ける事が出来ない」
そう言って、拓巳は俯いた。
「……あのさ」
洸夜が唐突に口を開いた。
「何?」
「俺助っ人頼まれた時、お前がぶっ倒れたから代わりに入ってくれって頼まれたんだよ」
洸夜の言葉に、拓巳は理解できていないと言った表情をした。
「つまり、お前はあの日倒れていた筈だ。だから、必然的にライブにも来れないことになる」
洸夜は、続ける。
「なのに、なぜ俺のことを知っている? お前は、嘘を付いてライブをサボったのか?」
「それは……」
洸夜睨まれた拓巳は、萎縮していた。
「何でお前がそう言うことしたのかは聞かない。どうであろうと、今の俺には微塵も関係ないからな」
洸夜は、そう言い切った。
「……君の言う通りだよ」
拓巳は、ポツリとそう言った。
「……そうですか。と言うかさ、その言葉を向ける相手が違くないか?」
洸夜の言葉に、拓巳は首を傾げた。
「何で、お前のバンドメンバーに言わないんだよ」
「それは……」
拓巳が口籠った瞬間、バン! と洸夜はテーブルを勢い良く叩いた。
「……いい加減にしろ。結局何なんだよ。俺の時間を無駄にしに来たのか? もう、帰ってくれない? 俺仕事があるの」
洸夜は、そう言って立ち上がった。
「序でに言っておくが、俺はもう楽器を握らないと決めた。だから、いくら頼まれたところで、俺はバンドをやるつもりはない」
そう言って洸夜は、 CiRCLEの中へと入って行ってしまった。
拓巳は、ただただその背中を見送っているだけだった。
数瞬の後に、彼は立ち上がりこの場を去ろうとした。
その際、とあるものが目に入った。
「……これは?」
彼が見つけたのは、いつの間にかテーブルの上に置かれていた、1枚の折り畳まれたメモ用紙であった。
拓巳は、そのメモを広げた。
中には、1つのアドレスと、伝言が添えられていた。
『話があるならここで話せ。俺は忙しいんだ』
拓巳は、目を通し終えると微笑した。
「……案外、素直じゃないだけなのかな?」
そう呟きながら???
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