第1章:出会い
第02話 『剥離』
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舜の後に理解する。
「なるほど。それは済まなかった」
そういった洸夜は、掃除用具を手に持った。
「貴方こそ、何をしているの?」
「俺は、ここでバイトだ」
軽く視線を背けながら、彼は告げた。
「そう……」
彼女は何か言いたげであったが、それ以上は何も言わなかった。
「俺は、これで失礼するよ。他に仕事があるから」
「ええ」
そう言葉を交わすと、洸夜は友希那の隣を通ってスタジオを出る。
その際、後ろに他のメンバーがいたことに気がつき、反射的に目元を伏せた。
1番後ろにいた、紗夜とすれ違う際、彼女が何かを言いたげにしているのを、彼はハッキリと確認した。
しかし、彼は何事も無かったかの様に通り過ぎていくのであった。
その後、頼まれた事を一通りこなした洸夜は、受付で座っていた。
まりな曰く、この時間帯は客足が少ないとのことらしく、実際に人が来ない状況であった。
そんな中、彼は持っていた文庫本を読んでいた。
すると、不意に扉が開き中に人が入ってきた。
洸夜は文庫本を閉じると、そちらへと向き直った。
その人物は、洸夜より若干長いぐらいのショートヘアの黒髪で、中性的な顔立ちをしていた。
同時に、その人物は自身と同じぐらいの年齢だと、洸夜は感じた。
「どうかしました?」
洸夜は、カウンター越しに尋ねた。
その声に気付いた青年は、洸夜の方へと向いた。
そして、目を見開いた。
「あ、あの?」
「はい?」
「確か、この前の『Crescendo』のライブの時、ベースやってましたよね?」
「は、はい……。それが?」
あまりの事に、洸夜は頭の整理が追いついていなかった。
「お願いです。このまま、Crescendoのベースを続けてください」
洸夜は、言われたことの意味が分からなかった。
「……は? え、えっと……?」
「お願いします!」
頭を下げる青年を見ながら、洸夜は頭の中の整理を急いだ。
「ちょっと待て。いきなり過ぎる。序でに、話すなら別の場所がいいんだが」
洸夜はそう言って、まりなの元へ向かう。
「なになに、どうしたの?」
「少し、席を外しても?」
「いいよ。今は特にやることないから」
洸夜はお礼を言って、青年の元へと戻る。
「許可が出たから、場所を変える」
そう言った洸夜は、併設されたカフェのテラス席へと移動する。
2人がけのテーブルに、洸夜と青年は向かい合って座った。
「こっちから質問させてもらうが、まずお前は誰だ」
洸夜は、若干強めに当たる。
「磯貝拓巳。バンド『Crescendo』のベース担当だ。君は?」
「俺は氷
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