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その日、全てが始まった
第1章:出会い
第02話 『剥離』
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 短く答えた洸夜は、それでと言って続ける。

「面接とかは……」
「あ、それならオーナーに話を通してあるから気にしなくて大丈夫だよ」

 内心緊張していた洸夜は、胸を撫で下ろしたが、同時にここで働いても大丈夫なのかという不安にも襲われた。

「シフトとかは……」
「毎週いつが空いてる?」
「基本的に火曜日と木曜日がフリーです」
「じゃあ、そこに入れておくね」
「お願いします」
「というわけだから、火曜日からよろしくね〜」
「はい」

 こうして、洸夜はここ『CiRCLE』で働くことになった。

「自分はこれで」
「気をつけてね」

 洸夜はそう言って『CiRCLE』の外へと出た。
 そして外に併設されているカフェテラスで、見慣れた2人の姿を見つけた。

「……紗夜、日菜」

 其処には、紗夜と日菜が座っていた。

「遅かったわね」
「少し取り込んでたんでな」

 紗夜の言葉に、洸夜は短く返すのであった。

「と言うか、待っててくれたのか? わざわざ?」
「そうだよー。お兄ちゃんこの後何かあった?」

 洸夜の言葉に日菜が首を傾げた。

「……いや、何も無いよ」

 そう言って洸夜は踵を返した。

「帰るぞ……。俺は疲れたんだ……」
「そうね。日菜、いくわよ」
「はーい」

 こうして3人は帰路へと着いた。特に言葉を交わすこともなく、ただ黙々と。

「……そういえば、どうして今日のライブに出たりしたの?」

 その静寂を断ち切るかの如く、紗夜が洸夜へと問いかけた。

「……あのバンドのリーダーの奴に助っ人やってくれって頼まれたんだ。ダメだったか?」

 その問いかけに対して、若干不機嫌さを垣間見せながら洸夜は答えた。

「別にそう言うわけじゃ……」

 紗夜は、そこで言葉を詰まらせた。

「今日のお兄ちゃんの演奏、るん! ってきたよ」

 そこへ日菜が割って入った。

「そうか。るんときたのか。なら良かったな」

 洸夜は、日菜の言葉を冷たくあしらった。

「……なんか、今日のお兄ちゃん変だよ?」

 日菜は、若干怯えた様子で尋ねた。

「元々だろ。そんなの」

 彼は振り返ることなくそう言った。

「それより、なんで2人は、今日会場にいたの?」

 洸夜は、2人へと問いかけた。

「私はバンドの皆さんに誘われて」
「私は友達に誘われたからー」

 と、紗夜、日菜の順番で答えた。

「なるほど。『Crescendo』って、そんなに人気のあるバンドなのか?」
「私はそう聞いてるわ」
「私もー」

 2人の答えを聞いて、洸夜はあれ程の観客が来ていたことに対して納得していた。

「そう
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