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剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ
003話 麻帆良の仙人
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――構成された材質を複製
――制作に及ぶ技術を模倣
――成長に至る経験に共感
――蓄積された年月を再現
――全ての工程を凌駕して幻想を結び剣と成す。

「――投影完了(トレース・オフ)

そして俺の手には桜咲が持つ刀と寸分違わぬ刀が握られている。

「この刀の名は『夕凪』というのか。どうやらかなりの年期が入っているようだな。主に幻想種を滅ぼす為に年代を越え桜咲に受け継がれてきたのだろう」
「そんなっ!? それはまさしく夕凪! しかし名も教えていないというのに…それにどういったものかも見抜くなんて」
「持って見比べてみるがいい」
「は、はい……」

桜咲は恐る恐る『偽・夕凪』と自身の夕凪を見比べて、そして驚愕した。

「た、確かに……少し精度が落ちるようですがそれでも夕凪と同じ力を感じます」
「そう。これが俺の投影。作られた工程、技術、経験、年月を解析し幻想を現実のものとして、やはり1ランクは落ちるが物の経験に最大限共感すれば担い手には及ばないが動きを模倣することもできる。
担い手本人が持てば本物と違わず操れることが可能の代物だ」
「さらにシロウの投影の非常識さはさっきの私のナイフと違って、一度投影してしまえば壊れるか消そうと思わない限り“幻想は所詮幻想”という道理又は摂理に逆らって現実にいつまでも存在し続けるのよ」

「そう、こんなふうに―――

俺は指をパチンッと鳴らした。そして桜咲に渡した夕凪の贋作はたちまち幻想となって消え去った。

―――俺が消えろと思えば存在が気薄になって幻のように消滅する」

「すごいなぁ」
「はい」
「ふむ。確かにこれは異端な魔法…いや魔術じゃな」
「やっぱりこの世界でも異端ですか?」
「そうじゃな、確かにこのような魔法はこちらの世界にもあるかどうかの不確かなものじゃ、じゃが安心せい」

学園長は長い髭をいじりながらフォフォフォと笑い出し、

「確かにこの世界も異端を嫌うものはいるが大抵は大丈夫じゃろ。
それにじゃ、アポーツ……いわゆる物質引き寄せの魔法だとごまかして言わせておけば大丈夫じゃろ?
じゃが、当然こちらにも魔法の隠匿が存在しておる。
ばれれば本国に強制連行で移送されて数年オコジョ姿にされてしまう。じゃから一般人の前では目立つ行動は控えることじゃな」
「そこら辺は大丈夫よ。私が認識阻害の魔術を行使すれば大抵はばれないから」
「それに俺自身それは直に何度も味わってきましたから心の隅に留めときますよ。しかし、それにしてもこちらの世界は罰がずいぶんと優しいんですね」
「そうね、確かに生ぬるいわ。私達の世界じゃ会った瞬間即どちらかが死ぬか撤退するまで戦う羽目になっていたからね〜…」
「ふむ。その考えは捨てておいたほうがいいの。もう君達は帰
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