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剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ
003話 麻帆良の仙人
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究をしているものがほとんどです。
ですが根源に近づきすぎた者や異端の魔術師には封印指定というありがた迷惑な称号のレッテルを貼られてしまうんです」
「封印指定? いったいどういったものなんだい?」
「そうね。封印指定を受けた魔術師は捕まったが最後、一生幽閉されて最悪脳だけホルマリン漬けにされて研究の対象にされてしまうわ。
そしてもっとも最悪のケースは、封印指定魔術師や死徒といった吸血鬼やその死徒に噛まれて同じく死者と化した人間の皮を被った化け物を、神の名の下に狩る為だけの代行者という人間離れした集団に抹殺指定されて殺されてしまうわ」

イリヤが俺の変わりにタカミチさんに俺達の世界の真実を説明してくれた。
するとやはりというべきか学園長をはじめタカミチさんや桜咲の息を呑む声が聞こえてきた。
それで一つ分かったことはこの世界はそんなに厳しくはないのだろう。

「それでは士郎君はその封印指定とやらを受けておったんかの?」
「ええ。俺の魔術は本来ありえないものなんですよ」
「それは……先ほどの中華刀のことも含まれているんですか?」

そこで桜咲がそう聞いてきた。よく見ているな。

「ほう? よく分かったな、桜咲。俺の魔術は一点特化型で身体や物の強化、物質の解析、物質の変化、そして投影というものなんだ」
「他はなんとなくわかりますが投影とはなんですか?」
「投影というのは別名グラデーション・エア。
ランクは落ちるがものを本物と一寸違わず複製する能力のことだ。大抵効果は数分と持たないものだがね。
だから本来は一時的な触媒にしか使われない低ランクの魔術のことだ」
「私が試しにやってみるわね」

するとイリヤが一本のナイフを投影してあろうことか学園長に向かって投げた。
さすがにそれはまずいだろ、イリヤ?

「なっ!?」

当然桜咲は瞬時に学園長を守ろうと動こうとしたが、タカミチさんは桜咲の肩を掴んで平然としていた。
投げつけられた学園長も表情一つ崩すことなく椅子に座り込んだままだ。
そして当のナイフは学園長に当たる前に幻想のごとく崩れ去ってその姿を消した。

「えっ?」

突然消えたナイフに桜咲は唖然としていた。

「だから言ったでしょ? 魔力を少ししか込めてないからすぐに消えたけど全魔力を行使しても持って数十分がいいとこね?」
「なるほどのぅ。では士郎君が使うとそれはどう違うんじゃ?」
「今から見せますよ。桜咲、君の刀を見せてくれないか? 悪いようにはしない」
「あ、はいわかりました」
「では、やるとしようか」

俺はすぐさま魔術回路を開き桜咲の持つ刀の解析をするために俺の始動キーを紡ぐ。

「――投影開始(トレース・オン)

――創造の理念を鑑定
――基本となる骨子を想定

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