第1章:出会い
第01話 『Crescendo』
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この時の洸夜は、知らなかった。
自分の妹達に、悟られないように出てきた事が水の泡となってしまうということを。
そして、ステージに立った『Crescendo』のメンバー達は、楽器の前に立った。
「今日は、来てくれてありがとう!」
祐治はマイクを手に取るの会場に対してそう告げる。
洸夜は、そんな祐治の後ろから、会場全体を見渡していた。
そこには、友希那やリサはもちろん、紗夜と日菜の姿もあった。
洸夜はなぜ彼女らが居るのかを考えていたが、途中で考えることをやめた。
「まずは一曲目『女々しくて』」
そう言って彼らは演奏へと移る。
そして、演奏が終わると拍手が巻き起こる。
同じようにして2曲目、3曲目と演奏していった。
彼らの演奏は、知らず知らずのうちに引き込まれる様な演奏であった。
そして、全ての演目が終わると、より一層大きな拍手が巻き起こった。
彼らは、そのことに大きな満足を得ていた。
しかし、ここに来てイレギュラーな事態に見舞われた。
『アンコール! アンコール!』
会場中から沸き起こるアンコールであった。
この事態を想定していなかったメンバー達は、動揺していた。
ただ1人を除いて。
「祐治」
動揺している祐治に、洸夜が声をかけた。
「……な、なんだ?」
「まずは観客に、少し相談時間が欲しいってことを伝えて」
祐治は言われた通りに、観客たちにその旨を伝えた。
そして、メンバーたちは、中心へと集まった。
「どうするんだ。何も考えてないじゃないか」
大樹がそう言った。
「……考えがあるんだが」
全員は一斉に洸夜の方を向いた。
「なんだ、その策ってのは?」
雅人が尋ねる。
「全員、『ロキ』の演奏できるか?」
「ああ。一応弾けるが」
「僕もだよ」
「俺もだ」
祐治、結弦、大樹の順に答えた。
「だが、俺はメインボーカルの部分歌えないぞ」
祐治は付け足して言った。
「俺もその曲はギターでは弾けない」
雅人がそれに続けて言った。
「ギター以外ならいけるか?」
「ああ……キーボードならワンチャン……」
「よし、それで行こう」
洸夜の言葉に祐治が待ったをかけた。
「ボーカルどうするんだよ……。それにもう1基のギターも……」
「俺が両方やる」
「正気……なのか?」
「ああ」
そう言った洸夜の目つきは、先ほどのものとは違った。
「俺を信じてくれ」
ただそれだけの言葉。
だが、その一言には途轍もない覚悟が感じられた。
「……わかった。やろう。みんな」
祐治の言葉に全員は頷いた。
そして、全員はそ
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