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その日、全てが始まった
第1章:出会い
第01話 『Crescendo』
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キーボードを除いた状態で演奏を始めた。
 すると、洸夜が指摘した通りのズレが生じていた。
 祐治達は、内心で苦虫を噛み潰したような気分であった。

 そんな時、突然洸夜がキーボードを弾き始めた。
 すると、乱れていたテンポが整い始めた。
 そして、その演奏が終わると洸夜が口を開いた。

「こういう事だよ。ズレてたでしょ?」

 一同は、洸夜に対して唖然とすることしかできなかった。

「……お前、演奏中にテンポを整えるなんて……何者だよ。普段はどこで何を演奏してるんだ」

 大樹が洸夜へと尋ねた。

「ん? 普段は演奏なんかやってないよ」

 洸夜は答えると、それにと言って続けた。

「俺はそもそも音楽なんてやらないって決めてるんだよ」

 と、当然のことのように言った。

「それなのにここまで弾けるとか……嘘だろ……」

 雅人はポツリと呟いた。

「問題点は分かった。改善に関してはどうするかなんだが……」
「ああ、それなら???」

 洸夜は右手の人差し指を立てながら説明した。

「ギターが半テンポだけ遅くすれば解決する。ドラムとベースはテンポばっちしだからね」

 それを聞いた祐治は頷いた。

「雅人、半テンポ遅くするぞ。よし、もう一回だ」

 そう告げると、洸夜に言われたことに注意しつつ再び演奏を行う。
 すると、先ほど生じていたズレが嘘のように解消していた。

「……どうだった?」

 演奏を終えた祐治は、洸夜へと恐る恐る尋ねた。

「バッチリ。とても綺麗な演奏だったよ」

 洸夜はそう答えた。

「じゃあ、2曲目の方も聞いてみようかな」

 その後、2曲目の『リンダリンダ』、3曲目の『HOT LIMIT』という具合に課題点を改善していった。
 そして、課題点な改善が終わった所で解散という流れになった。

「じゃあ、明日は頑張ろうな」
「「「「ああ(もちろん)(うん)(だな)」」」」

 そう言ってスタジオを出ようとした。

「洸夜、帰ろうぜ」
「先に外出ててくれ」

 洸夜は祐治にそう言うと、祐治はスタジオを後にした。

「……おい」

 そして、洸夜もスタジオを後にしようとしところで、呼び止められた。

「……なんだ?」

 洸夜は振り返った。
 呼び止めたのは、雅人であった。

「お前、助っ人としてきたくせに、上から目線じゃないか?」
「……そう感じたか。すまなかった」

 予想外の反応に、雅人は動揺した。

「いや、まあ……わかればいい」
「……うん」

 あ、と言ってた洸夜は口を開いた。

「言い忘れてた。俺は、助っ人としてだが、ライブを成功させたいと思ってる。だから、本番前
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