第1章:出会い
第01話 『Crescendo』
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「ああ……」
「なら、俺がキーボードやるよ」
「え?」
洸夜の返答に、祐治は驚いた。
「お前、今ベースとギターって……」
「それは、主な役割の話だ」
「……弾けるのか?」
今度は雅人が洸夜へと問いかけた。
「一応……それでも、ほぼド素人に近いがな」
祐治は、少し考え込んでから再び口を開いた。
「……なら、今から俺の言った曲を弾いてみてくれないか?」
「了解。何を弾けばいい?」
「『Raise your flag』を弾いてほしい」
「視聴してからでもいいか?」
「いいよ」
了承を得た洸夜は、懐からスマホとイヤホン取り出し、音楽を聴き始めた。
そして視聴が終わると、キーボードの前に立った。
そして、指を添え鍵盤を走らせる。
それは、一切の狂い無く弾かれていく旋律へと変化していく。
洸夜が演奏する様子に、一同は見入っていた。
「とりあえず、ここまででいいかな?」
1番のサビが終わったあたりで、洸夜は演奏の手を止め顔を上げ祐治へと尋ねた。
「ああ。というか、凄すぎるだろ。このままキーボード頼んでいいか?」
洸夜の演奏に対して唖然としていた祐治は、そう返した。
「俺もそれに賛成だ」
と、大樹が言った。
「森田君、僕も同じ考えだよ」
続けて結弦が言った。
「同じくだ」
最後に雅人がそう口にした。
「全会一致だな。洸夜、いいか?」
「もちろんだ。そもそも、俺は欠員の穴を埋めるために来たんだからな」
洸夜は、そう言った。
「だったな。頼んだぜ」
「任された」
「よし、じゃあライブも明日に迫ってるわけだし、セッションするぞ」
祐治がそう言うと、全員は楽器を構える。
「じゃあまずは、プログラムを通しで行くぞ」
そこから、三曲を間髪入れずに演奏していく。
そして、演奏が終わった後、祐治が全員に尋ねた。
「何かおかしいとか、ここを直した方がいいとかあるか?」
祐治が全員を見渡すと、洸夜が手を挙げた。
「洸夜、何かあるのか?」
「ああ。全部の曲で」
その言葉に全員は眉をひそめた。
「何処が変だったのかな?」
結弦が洸夜へと尋ねた。
「えっとだな、一曲目の『女々しくて』。この曲に於いては、ドラムのテンポに対してギターが若干だが先行しすぎてる。その僅かに生じたズレに伴う様にベースもズレてた」
「……マジか。弾いてる時は全然感じなかったが」
祐治がそう言った。
「何なら、キーボード抜きで弾いてみれば? 多分、その方がわかりやすいだろうし」
祐治は、頷いた。
「よし、ちょっとやってみるぞ」
そうして、
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