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その日、全てが始まった
第1章:出会い
第01話 『Crescendo』
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てしまいました……」

 紗夜は、少し泣きそうになりながらもでも、と言って続けた。

「さっき……洸夜が演奏しているのを見たとき……嬉しかったんです。また……あの時みたいに……楽しそうに演奏している……洸夜の姿が……あったから……グスン……」

 そこまで言い切った紗夜は、泣き始めてしまった。

「紗夜……」
「紗夜さん……」

 リサとあこは、紗夜を慰め始めた。

「彼……その他にも、何かあるわね」

 友希那は、誰にも聞こえ無い程の声で、そう呟いた???





 3人に退出してもらった後、洸夜は再び演奏を始めていた。
 しかし、彼の頭の中には紗夜に見られてしまったという事実が過ぎり、演奏に集中する事ができなくなってしまっていた。

 結局、当初の予定であった3時間の練習を、2時間で切り上げてしまった。
 洸夜は、部屋を出ると受付へと向かった。
 そして、まりなに練習が終わった旨を伝えた。

「終わりました」
「ご苦労様」

 そう言って彼は、帰宅しようと踵を返した。

「あ、君」

 突然、呼び止められた。

「……何か?」
「良かったら、ここで働かない?」

 一瞬、洸夜は彼女の言っている意味が理解できなかった。

「……えっと、それはアルバイトという事ですよね?」
「そうだね。今人手不足でね……やってくれると助かるんだけど……どう?」

 洸夜は少し悩んだ。
 確かにここなら、アルバイトするのにも抵抗は無い。
 学校ではアルバイトを禁止されていると言ったこともないので、いいとは思った。

「……そうですね。働いてみようかな」
「本当?」
「ええ」

 ただし、と言って彼は続けた。

「今は、やるべき事があるので、それが終わってからまた来ます」
「そっか。わかった。じゃあ、都合がついたら私のところに来てね」
「はい」

 そう言って洸夜は、家へと向かって行くのであった。
 そして、帰宅した彼は荷物を下ろすと、着替える事なくベットに横たわった。
 今日起こった、あのことを思い出しながら。
 あの瞬間のことが、幾度となく脳裏を過る。

「……まだ、気にしてるのか。俺……」

 そう呟くと、彼は目を閉じた。
 そうして、考え込んでいるうちに、彼は眠りについてしまった。
 そして、眼が覚めると、翌日になっていた。

「……ヤベェ、風呂入らないで寝ちまったのか」

 そうボヤくと、彼は着替えを持って風呂場へと向かい、シャワーを浴びた。
 そして、シャワーを浴び終えた彼は着替えてリビングへと向かった。

「おはよう洸夜」

 リビングへ行くと、彼等の母親がいた。

「おはよう、母さん」
「昨日は夕飯食べ
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