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その日、全てが始まった
第1章:出会い
Prelude
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演奏している。
 そして、1番のサビが終わったところで、彼は演奏の手を止めた。

「こんなもんかな」

 そう言った洸夜は、今度はギターを手にした。

「さてと、こっちの感覚は生きているのかな……?」
「あ、私とセッションしようよ?」
「いいけど、今井はベースなのか?」
「そうだよ。アタシと友希那を含めた5人でバンドやってるんだけど、そこでアタシはベースをやってるんだ」
「私がリーダー兼ボーカルよ」

 リサの言葉に続いて、友希那が言った。

「2人は同じバンドなのか」

 それを聞いた洸夜は、どこか納得したように頷いた。

「なるほどな。あ、曲どうする?」

 洸夜は、自身の持つスマートフォンに映し出した候補をリサへと見せた。

「んー、アタシが決めてもいいのかな?」
「ああ。寧ろそうしてくれるとありがたい」
「オッケー。じゃあ、これ」

 そう言ってリサは、某人型決戦兵器が出てくるアニメの主題歌を選択した。

「なら、私も歌わせてもらおうかしら」

 そう言って、友希那が話に入ってきた。

「3人でか。面白そうだしいいんじゃないかな」
「そうだね、でも、ドラムとかなしでも大丈夫かな?」
「その辺はご心配なく」

 洸夜の言葉に、2人は顔を見合わせた。

「俺がそこまでの分を、演奏でカバーする(・・・・・・・・)
「……できるの?」

 友希那は、洸夜へと問いかけた。

「……ああ」
「わかったわ」

 そう会話を交わすと、3人は演奏へと移った。
 演奏に入って直ぐ、リサと友希那は気付いた。
 彼は、宣言通り足りない楽器のパートをカバーしていることに。

 そして、そのことが初めての演奏にも関わらず、完璧にシンクロさせているということも。
 演奏後、リサと友希那は今までに感じたことのないような心の昂りに気づいた。

「……こんなものかな」

 そう呟いた彼の耳に、2人の会話が入った。

「洸夜の演奏って、人を魅了するものがあるよね」
「ええ」
「おいおいよしてくれよ……お2人さんや」

 洸夜は満更でもないと言った様子であった。

「事実よ。貴方は人を魅了する演奏ができる。それだけの才能を持っている」

 改まった様子の友希那はそれに、と言って続けた。

「1人であそこまでカバーができる奏者も中々いないわ」
「洸夜はもっと胸張ってもいいと思うけど」
「そんなことないってば。第一俺は???」

 口々に言われたことに対して、洸夜は反論しようとした。
 しかし、彼の言葉途中で止まってしまった。
 そして、唖然とした表情で、扉の方を見つめていた。

 それに続くように、友希那とリサも扉の方へと視線を送る。

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