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俺様勇者と武闘家日記
第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
なんだかんだで王様終了
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こにいたらしい。帰るに帰れずというのは少し疑ってしまうけど。
 結局ナギはシーラからビタ1Gももらえずじまい。交渉……いや奪い合いをしているうちに私たちと合流し、結局1回も賭けに参加することは出来なかったようだ。
 一方のユウリはというと、本当は賭けをやってみたかったようで、本人にきいた訳ではないが、王様が去ったあと、格闘場をじっと見ていたし、何やらぶつぶつと呟いていた。こっそり近づいて耳をそばだてて聞いてみると、「あの魔物は炎の攻撃に弱いから、勝つ確率としてはなんとかかんとか……」って言ってたから、もともと計算して予想を立てるのが好きなんだろう。ていうか、なんで私の周りには賭け事好きな人しかいないんだろうか?
おそらくさっき王様に会ったときも、公務だとか誤魔化してはいたけど、本当は単に行ってみたかっただけかもしれない。あくまで推測だけど。
 格闘場を出た後も、ユウリはずっと考え事をしていたのか、独り言を言い続けていた。逆にそんなユウリの様子が、心配になる。
 だが、それは杞憂だった。城に到着してからの彼はいつもとなんら変わらず、先に城に戻っていた王様(すっかり元の格好に戻っている)にはいつもどおり丁寧な礼節で返し、私たちにはいつもどおり無愛想な態度で見せてくれた。玉座にいる王様に気づかれることなくそんな無表情を私に返すところは、やはりというか、さすがと言うか。
「実はな、他人に王位を譲ったのはこれが初めてではないんじゃよ」
 王様によると、ユウリだけでなく、この城に仕えている人に時々王位を一時的に譲っているらしい。侍女長であるミライザさんも、一度やらされたとか。
「ホントに、王様の趣味にはつきあってられません。私もなりたくてなったわけではないんですよ。ただあのときチェスで他の侍女に負けてしまったから仕方なく……」
「ミライザもうよい! お前は下がっておれ! ……すまぬ、わしが幼い頃から傍におるせいか、どうも苦手での……」
 と言って、苦笑する王様。道理で、ユウリを召しかえる時のミライザさんの行動が機敏なはずだ。もうこの城では日常茶飯事なことなんだろう。
 ひょっとして町の人たちもこの状況に慣れていたのだろうか? だから王様姿のユウリをすんなり受け入れたのだろうか。……まあ、そのあとのユウリの対応で、町の人たちのユウリに対する印象は大分変わったと思うけど。
 実際格闘場から城へ向かう途中、何人かの町人がユウリを見て怪訝な顔をしていた。ひそひそと話をしている人もいたし、一部の町の人はあまり良く思っていない人もいるようだ。
「ところでユウリ殿。もし旅の途中でノアニールの近くに行くことがあったら、町の様子を一度見に行ってはくれぬか?」
 落ち着きを取り戻した王様の言葉に、ユウリは一瞬眉を顰めた。
「どういうことですか?」

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