暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第14話:それぞれのお悩み相談
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「そんなら、この話はこれでお終い。今日はこのまま真っすぐ家に帰って、ぐっすり寝て明日から何時も通りに奏と接してやんな。奏もそれを望んでる筈さ」

 奏も翼との仲直りを望んでいる…………その言葉に、翼は自分の心に覆い被さっていた不安が消えていくのを感じた。気持ちが軽くなり、自然な笑みを浮かべる事が出来るようになっていた。

「明星さん、ありがとうございます。それと、さっきは、お見苦しいところを見せてしまい申し訳ありませんでした」
「ん、気にしなくていいよ。元はと言えば俺が原因だし、翼ちゃんの本音を引き出す為に煽ったのも事実だしね」
「それでも、です」
「ま、そこまで言うんなら大人しく謝罪は受け取っとくよ。ただ一つ言わせてもらうんなら……」
「何です?」

 軽く首を傾げて続きを促す翼に、颯人は少しおどけた様子で口を開いた。

「俺を呼ぶ時は下の名前で呼んでもらいたいかな」
「下の名前、ですか?」
「そうそう。今後も一緒に戦う仲間な訳だし、気安くいこうや!」
「それは……いえ、そうですね。分かりました、颯人さん」

 翼が自分の事を下の名前で呼んだことに満足そうに頷くと、颯人は懐から懐中時計を取り出し現在時刻を確認する。ぼちぼちいい時間だ。彼はドーナッツの箱を閉めると、残りを全部翼に差し出した。

「んじゃ、そろそろいい時間だし今日はもう帰んな。こいつはお土産にやるよ」
「そんな、悪いですよ!?」
「いいから取っとけって。翼ちゃん立場的にこう言うの気軽に買えないでしょ? 得したと思って貰っときな」

 学生の身分ではあるが、翼は既にツヴァイウィングの片割れとして有名人になってしまっている。そんな彼女が、こういったものを気軽に買う事は正直な話彼の言う通り難しい。出来ない訳ではないが、いろいろと面倒な準備を必要とした。主に、ファンなどに見つからないようにする為の変装などだ。
 その事を考えると、確かにここでもらえると言うのは得と思ってもいいのかもしれない。

 暫し悩んだが、此処は厚意に甘える事にした。決して普段滅多に買えない有名チェーン店のドーナッツの魅力に負けた訳ではない。

「それじゃ、ありがたく頂きます」
「ん、そうしてくれ。それじゃ、また明日」
「はい。颯人さん、お疲れ様でした」

 翼は箱を手に、颯人に別れを告げてその場を立ち去った。その足取りは心なしか今日一番の軽さを見せていた。

 立ち去る翼を見送った颯人。彼は彼女の姿が見えなくなった頃合いを見計らい、大きく溜め息を吐いた。

「はぁ〜〜、何とか丸く収まったか。奏の方も響ちゃんなら何とかなるだろうし。あとは────」

 颯人はそれまでずっと見ないようにしてきた方に目をやる。それは少し前まで翼が座っていた、颯人が最初に彼女を
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