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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第二章:空に手を伸ばすこと その壱
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から体を千切られる男とは思えないほど、目は狂気と自信で爛々と輝いており、口元は限りない侮蔑の笑みを浮かべている。

「貴様ら畜生どもをこの手で殺せぬことが残念の極みだわ!!!!!!だが我が為さずともいずれ天が貴様らを食い殺すであろう!!!!楽しみに待っておれ!!!!!!!」

 男はさも愉快な気持ちであろう、洛陽の町全体に響かんばかりの哄笑を洩らした。手が縛られていなければ腹を抱えて転げまわっていただろう。
 男の狂気に満ちた行動に拭い難い恐怖を抱いたのか、役人が顔を歪めて声を裏返させて命を下す。

「や、やれィィィ!!!」

 騎手たちが鞭を強く入れると馬達が嘶いたのちに前へ向かって勢いよく直進する。勢いをもって千切るのであるから縄は幾分長く、馬が距離を稼いでいくと巻かれた縄が徐々に引っ張られていく。馬元義は狂った哄笑を途絶えさせない。役人が苛苛しながらまだかまだかと馬の走りを見届けている。
 ついに馬車がその距離に到達し、馬元義のに括られた縄に瞬間的に重圧を加えた。自らの四肢を強烈な力で引っ張られるのを笑みの中で感じた彼は、次の瞬間に訪れる圧倒的な衝撃を脳に焼けつけられた。そして血飛沫が舞う宙を見つめながら天の悟りを開いたかのように想起する。それが何かをはっきりと知る前に、彼の意識は雲散霧消して暗い深淵の中へと堕ちていった。






「『張角らの賊軍、予想を超えて巨大なものなり。よってそなたを遺憾ながら騎都尉に命じるが故、朝敵殲滅に全力を注ぐべし』、か・・・・・・。自分達が危うくなった瞬間に政敵を頼るとは。誇りの欠片も無い連中ね」

 部屋の主が己の獣欲ことしか知らない無知な宦官に対して嘲る。次いで自分の中に沸き立つ戦意の昂ぶりを感じ、大陸を巻き込む戦乱に思いを馳せる。
 あの後、史実どおりに黄巾の乱が始まった。太平道の教祖である張角は軍事行動計画を事前から用意周到に巡らせていた。信徒たちは黄色の頭巾をつけ一斉に蜂起し、中原各地に動乱は広がりを見せる。
 張角は自ら天公将軍と称し、張角の弟張宝は地公将軍、張宝の弟張梁は人公将軍と称した。天地人をもじったそれは森羅万象の大元である天と地と人が味方であることを印象付ける。対して霊帝は三月に何進を大将軍として首都防衛の任に当てて、同時に洛陽に至る八つの関に都尉、つまり軍事指揮官を置き守備を固める。平行して二次にわたって続けられた党錮の禁を解き、弾圧されていた知識人らが黄巾賊に加わるのを妨げた。さらに反乱討伐軍司令官として、北中郎将の盧植に冀州の張角討伐を、左中郎将の皇甫嵩・右中郎将の朱儁に潁川の黄巾討伐を命じる。いずれも賊達が大勢集結している場所であり、確実に鎮圧するために信頼できる武将を遣わしたのであろう。兵力は皇甫嵩・朱儁ら連合軍が4万。盧植の冀州討伐軍もほぼ同
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