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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第二章:空に手を伸ばすこと その壱
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っと!!あたた...石踏んじゃったかも...」

 尻ではなく、足の裏を気遣うようにぴょんぴょんと跳ぶ。
 仁ノ助はそれを横目に大剣を、呉鉤を拾って鞘に納める。

「今日は此処までな。そろそろ夜だ。夕餉の支度をしないと」
「はーい...ちなみに夕餉は何かしら?」
「干し肉と水」
「............早く町に行きたいわね」
「あぁ、そうだな」

 粗末な夕食に居た堪れない気持ちが沸いて来る。早く新鮮な飯にありつけるよう、二人は祈りにも似た期待を込めてそそくさと夕餉の支度をしていった。




 冬の寒さで凍える洛陽の市場。その中心で四肢を縄で縛られながら甲高い喚き声を挙げる男がいた。風体は野蛮そのものを表しており、男の髪を結わく黄色の頭巾が出自を公然と語っている。
 この者の名は馬元義という。朝廷内の欲まみれた宦官達と内応をし、時がきたら皇帝の膝元であるこの町で決起を行い、朝廷の腐敗を一気に武力で断じる手筈となっていた。ところが彼の部下である唐周が皇帝直属の宦官にこの事を密告、結果として計画は露呈してしまい彼は拘束される。今は唯、処刑されるだけの哀れな身だ。

「ーーー以上の罪によってこの男を車裂きの刑に処する!!恐れ多くも皇帝陛下に反旗を翻そうとした、鬼畜所業を企む男の末路をしかと目に焼きつけよ!!!!」

 彼の目の前に立つ役人が高々と宦官によって書かれた書状を読み上げた。彼らの周りを何事かとみつめているのは、いずれも飢えと貧しさを体の何処かしらに見せている住人達である。宦官による腐敗政治が町を蔓延って以降、日々自らの生活は困窮する一方、それに加えて冬の寒波が町をなでているので体が震えている。腐敗政治を弾劾する者達が処刑された以降は、このようにして事ある度に謀反者が現れては公開処刑にされている。群衆は慣れきった様子で処刑の成り行きを見守っていた。
 役人が読誦を終わった後に、近くに待機する騎手たちに手をさっと振り合図をする。
 車裂きの刑とは別名八つ裂きの刑ともいわれる残酷な死刑方法の一つである。人間の四肢に縄を縛って馬車につなげる。そして馬車を引く馬が一気に発進して勢い任せに体を引き千切り、右腕・左腕・右足・左足・胴体の五つに体を分解するのだ。恐怖を与えるために生まれてきたかのようなこの処刑はこの大陸では昔からあるものであり、宦官たちはそれを民衆への威圧目的で使用しているに過ぎないが、それでも余りあまって惨い計であることは変わりない。
 騎手たちが合図を見て馬車に乗り手綱を持った。後は役人が処刑執行の合図をするだけである。事此処にいたって自らの最期を感じたのか、自分の気勢を見せ付けるかのように馬元義は叫んだ。

「蒼天の獣達よ!!!!!!!!」

 彼の叫びに驚いて役人達が彼を振り向いた。これ
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