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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第二章:空に手を伸ばすこと その壱
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れたかのように錯覚するほど、先の動きよりも断然と鋭さを誇るもの。仁ノ助は剣の重みに頼る勢いでこれを防ぎ、即座に左より迫る石突より飛び退く。詩花は柄頭付近を握って更に迫り、斧を扱うかのように振り下ろす。飛び退きで動きの取れぬ仁ノ助は強引にこれを払い除け、続けざまに迫る詩花の姿を見、僅かに瞠目した。

(私だって、このくらいはっ!!)

 鍛錬とはいえ、否、鍛錬であるからこそ全力を出さねばなるまい。詰まり、己の得物の得手とする所より、相手を切伏せる。
 詩花は眼前の敵を見定める。得物の重さは変わりとて、所詮は剣に過ぎない。そう思ってか否か詩花は自然と、戟の最大の強みであるリーチの長さを生かすように、突きを主軸として攻め手を激しくさせていく。

「えいやぁぁぁっ!!」

 手数の利、仁ノ助にではなく詩花に転んだようだ。刃の両方、如何なる面によってでも肉は裁断され血潮が撒かれる事請合いの戟を、詩花は足腰に力を入れながら、小刻みに相手に繰り出していく。
 手首を回して出された刺突を打ち払い、膝狙いの落とし切りを寸前で避け、下方から円を描くように放たれる一撃を弾く。胸先で鋭く火花を散らした鎌を見て、冷や汗が飛び散る。剣の重みが一気に不利と働き、守勢に転ばざるを得なくなる仁ノ助。戟を弾いたと思った瞬間、即座に眼球目掛け返された刃を避けた際には、肝が冷える思いであった。

「っ...あっぶな...」
「まだまだぁっ!!」

 絶叫にも似た猛りを放ちて、詩花が額に大粒の汗を浮かべて迫る。柄半ばを持ち牽制の突きを放つ。そして繰り出された右足を軸として身体を縦に廻し、戟の鎌を思いっきり落す。其処から繋げて更に一歩踏み出し、左手を柄半ば付近を握り締め、まるで岩盤に穴を開けるかのような鋭い刺突を繰り出した。一連の攻め手は詩花が最も得意とする所であり、例に漏れず仁ノ助は姿勢を崩す。

「これでぇ...」

 大きく刃を戻し、更なる刺突を構える詩花。一瞬の内に手首の戻しを確認し、再びそれを廻し、仁ノ助の胸奥の心臓目掛け、刺突を繰り出した。 

「決まりぃぃ!!」
「お前がなっ!」

 仁ノ助は笑みを浮かべ、両手でクレイモアを逆手に握ると刺突を滑らせるように防ぐ。火花を散らした先には、硬い木で出来た長い柄があり、その横を刃の腹が通過してゆく。逆手ゆえに、下方から上方に向かって、引き上げるような切上げが可能。
 咄嗟に詩花は戟を離し、刃の反対側に回り込み、再び戟を握ろうとする。だがそれより前に、同じく剣を離した仁ノ助により、軽々と背負い投げを見舞われた。大きく尻を打ち、詩花は可愛らしい悲鳴を漏らした。

「あいたっ!!っっっぅぅ...痛いじゃないの、もう!」
「そりゃ鍛錬ですから。加減は出来るだけしたけど、大丈夫?」
「だいじょう、ぶ
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