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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第二章:空に手を伸ばすこと その壱
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れ味も折り紙つきだ。仁ノ助は割と必死にこれを弾き飛ばしていく。
 顔を狙った一振りを避け、腰で回された戟の石突を剣で弾く。重量のある一撃にたたらを踏みかけ留まると、距離を詰めた詩花の縦割りに見舞われる。咄嗟に体を反らせば、左腕を掠めて刃が通過していった。瞬間、詩花の眼光が鋭くなり、刃の落下が止まる。戟が地面と平行するように返され、横薙ぎの一撃が振るわれんとしていた。

「おらぁあっ!!」
(やばっ!?)

 身体のバネを使って全力で飛び退く仁ノ助。それに追い縋るように戟の一閃が鋭い音を伴って振るわれた。仁ノ助は四間|《≒7.2メートル》ほどの距離を開け、油断無く武器を構えた。
 両者、戦意滾った視線を交わしあい、暫し微動だにせずに相手の出方を待つ。詩花が緊張でごくりと唾を飲み込み、何かを見つけたか、視線を鋭くさせる。そして彼女は鍛錬にも関わらず爽快に破顔して、仁ノ助の腿辺りを指差した。脚絆に切込みが入り、浅く血を滲ませている。最後の一閃が届いていたのだ。詩花は調子に乗った心で口々に言う。

「ほら見なさいっ!今度こそ当たったわよ!!あんたもまだまだねぇ〜?これで仕官するんだって言うんだから駄目ね〜!力量知らずの武者相手じゃ、仕官先の武将も笑っちゃうわ〜!アッハハハハーーー」
「ほう?まだまだ、ねぇ?」
「......え?」

 地を這うような低い声に詩花は固まる。仁ノ助は乾いた笑みを浮かべながら呉鉤を投げ捨てて己の駄馬に近寄ると、その鞍に掛かっていた大剣を掴み取る。刀身が1メートル近くあるその無骨な剣を、人はクレイモアと呼称する。仁ノ助はこれを確りと両手で握り締める。親指を立てて、残りの四本の指の間接の裏側に柄の縁を合わせる握りだ。
 重みも得物のリーチも全く違う剣に、詩花はどもりながら声を上げた。

「ちょちょちょちょっ、そっ、それは無しよ!ありえない!馬鹿じゃないの!?そんな大剣防げるわけーーー」
「実戦じゃ相手は選べないぞ?そして戦地に足を運ぶのならば、降りかかる火の粉は払えるようにならないとな!臆せずかかって来い、詩花っ!」
「ってあんたから来てどうすんのぉぉっ!?!?」

 仁ノ助は問答無用に走駆し、動揺を浮かべながらも戟を構え直した詩花目掛け、大きく縦振りの一撃を見舞った。詩花は後ろに飛んで避けた心算でいたが、而して彼女の頭上に刃は存在したままだ。リーチの変化に身体が理解を覚えていなかったらしい。柄を短く持っていた事が幸いしたか、咄嗟に戟の刃を掲げる事が出来た。途端に、刃に打ち付けられる大剣の重みに柄が震え、腕がぎしりと痛みを覚えた。   

(重っ!?) 

 転がるような醜態で、剣の勢いを殺すように詩花は思いっきり横に転がる。クレイモアは勢いのままに詩花が立っていた地面に落ち、土煙を撒く様に一筋
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