第九幕その四
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「あたしその人は知りませんでした」
「そうだったんだ」
「はい、ちょっと」
「そうだったんだね、けれど息子さんもいて」
先生は優花里さんにそのお話もしました。
「それでね」
「その人もですか」
「実は生きていたという説があるんだ」
「そうだったんですね」
「それでお話を幸村さんに戻すと」
「あの人もですね」
「僕も生きていたともね」
その様にというのです。
「思っているよ」
「先生もなんですね」
「はっきりとした証拠はないけれど」
「それでもですか」
「生きていたと思ってるよ」
「その方が夢がありますしね」
「そう、物語としてもいいよね」
「全くですね」
こうしたお話をしながらです、皆でお昼の前に軽く優花里さんが作ったアップルティーや林檎のお菓子をご馳走になりました。ですが。
食べてみてです、先生は優花里さんにお話しました。
「美味しいけれど」
「それでもですか」
「うん、これはさんフジだね」
先生は林檎の種類を言いました。
「そうだね」
「そうです、その林檎です」
「さんフジ自体は美味しくて」
それでというのです。
「このアップルティーやアップルパイもね」
「美味しいですか」
「そう、けれど」
「紅玉を使ったものよりはですね」
「あれが一番かな」
「そうですか」
「あの味はね」
紅玉を使った林檎料理のそれはというのです。
「紅玉がその為のものであるから」
「他の林檎はあれなんですよね」
優花里さんは右手を自分の頭の後ろにやってお話しました。
「そのまま食べることを考えて」
「それでだよね」
「はい、そうした品種にされたもので」
「そのまま食べると美味しくてね」
「アップルティーとかお菓子にすれば」
どうしてもというのです。
「やっぱり紅玉に負けますね」
「そうだね」
「そこはどうしても」
「貴女もわかってるんだね」
「はい、ですがあたし紅玉を使ったもの以外のアップルパイとか食べたことなくて」
「もう決まってるんだね、この林檎園では」
「というか紅玉はもう」
この種類の林檎はというのです。
「そっちに使ってます」
「加工にだね」
「そのまま売ってもいますけれど」
「主にだね」
「加工してです」
アップルティー等にというのです。
「それで食べたり売っています」
「そうなんだね」
「ですからあたしも」
「アップルティーといえば」
「子供の頃から食べてますけれど」
この林檎園で造っているそれをというのです。
「紅玉のしかなくて」
「自分で造ったみているんだね」
「他の種類のを。友達の退院祝いにって」
「そうだったんだね」
「はい、ですが」
それでもというのでした。
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