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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
過去編 孤高の戦姫は、獣欲の爪に敗北する
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、玉座に踏ん反り返っている諸悪の根源――帝国貴族ババルオは。全く取り乱す気配もなく、頬杖をついて座している。

 その肥え太った髭面の男は、帝国製の煌びやかな装束に身を包んでいるが……その装束が泣き出しかねないほどの醜い顔の持ち主でもあった。
 鼻は豚のように低く丸く、唇はでっぷりと太く前面に突き出ており、贅肉のあまり首は胴体とほぼ一体化してしまっている。繋がった太眉の下にある細い目は、粘つくような眼差しで眼前の美少女の肢体を見つめていた。

「破廉恥な……! あなた如きに明け渡すような純潔など、持ち合わせてはいないわッ!」
「やれやれ、小煩くて敵わんわい。……儂がこの状況になっても、取り乱しておらん理由がわからんのか」
「……!?」

 その下卑た視線と物言いに怒るロザヴィーヌは、ババルオの言葉に不審なものを感じ、周囲を見渡す。だが、罠や伏兵の気配は全く感じられない。

「……必要ないからだよ。儂1人さえ、残っておればな!」

 それまで気怠げに座していたババルオが――突如目の色を変え、立ち上がってきたのはその直後であった。両手の袖から伸びる鉤爪が、天井のシャンデリアの光を浴びて妖しい輝きを放つ。

「なっ――!」
「まずは、その要らん服を剥ぎ取るとしようか。これから娼婦に堕ちるお前には、無用の長物だからなァッ!」

 その贅肉だらけの外観からは、想像もつかない速さであった。一瞬にして玉座から飛び出し、ロザヴィーヌの間合いへと接近してきたババルオは、己の鉤爪を一気に振るう。
 間一髪。その一閃を回避した戦姫は胸を揺らして、反撃へと移った。

「くぅっ……このおぉッ!」
「近衛兵さえ倒せば後は楽勝、とでも思ったか? 残念だのう、ロザヴィーヌよ!」

 だが、槍の切っ先がババルオを捉えるよりも速く。その体躯に反した流麗な蹴りが、槍の柄に命中し狙いを逸らしてしまった。

「あっ……!?」
「女を犯し続けるには腰を振り続けねばならんし、体力も要る。ただの好色漢が、この国の女共を何百人も抱けるとでも思ったのかのう?」
「くっ……はぁあぁあーッ!」

 その「いなし」に瞠目しつつも、ロザヴィーヌは素早く体勢を切り返し、第2の刺突を見舞う。

「そうやって、武器だけで戦おうとしてるうちは『達人』にはなれん。武器を握る儂自身も、武器となるのだよ」

 だが。今まで、幾多の帝国兵達を一瞬のうちに仕留めてきた、必殺の一閃は。

「あっ……!?」
「これで分かっただろう。儂はただの動けるデブではない、超動けるデブだ……未熟者めがッ!」

 容易くそれを見切ったババルオの鉤爪に、あっさりと弾き落とされてしまった。そして、丸腰となってしまった無防備な彼女を、欲深き強者の刃が襲う。

「……っ、あぁああ
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