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NARUTO 桃風伝小話集
その39
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ているようだが、女扱いはないだろう。その、なんというかだな。流石にやはり、それはないと、そう思うぞ」
そうして続いた、苦々しさを隠さない渋い声で為された、頓珍漢な夫の諫めと叱責に、ミコトは思わず絶句した。
イタチに似ない、サスケのあの鈍感さが、一体どこから生まれて来たのか。
その源泉を発見したような気分になる。
イタチのあののんびりとした気性はフガク似で、サスケの好悪がはっきりした気性は自分似だと、ミコトは今までそう思っていたのだけれど。
上の息子のイタチも、ミコトにも何も言っては来ないけれど、どうやらミコトと同じく察しているようだというのに。
由緒ある忍の誉れ高いうちは一族の長ともあろう者が、一体何を言っているのだろうか。
くらくらと微かな眩暈を覚えつつ、滔々と、女扱いされる男の悲哀と屈辱を語っている夫の口上を、疲労を感じながらミコトは遮った。
「あなた」
遮らねば、どこまで夫の的外れな叱責が続くか知れたものではない。
流石に就寝しようという今この時に、夫の奇行を黙って見守る酔狂さはミコトにはない。
むしろ、早々に打ち止めたい。
よって、端的に事実を突き付けた。
「ナルトちゃんは女の子です」
「……は?」
「ですから、対外的に男とされて、里からそのように扱われて育てられているようですけど、ミナト君とクシナの遺した人柱力のあの子は、まぎれもなく性別は女の子です」
丁寧に繰り返せば、全く気付いていなかったらしい夫は、無言になって沈黙してしまった。
「家でナルトちゃんの事に気付いてないのは、サスケ一人だと思ってましたのに」
夫から返ってくる沈黙が、ばつの悪そうな雰囲気を持っていた。
思わず呆れが溜め息となって吐いて出る。
「気付いてらっしゃらなかったのは、あなたもでしたのね…」
落胆と呆れが綯交ぜになった、情けない心地で感想を述べれば、沈黙の下からくぐもった声で反応が返ってきた。
「…………イタチは気付いているのか」
「ええ。扱い方が女の子に対するものでしたもの」
「……そうか」
極端に口数が少なくなってしまった夫に、最終通告を述べるような面持ちになりながら、質問の体を取りつつ、ミコトは己の考えを断言した。
「男として暮らしているナルトちゃんには、同性である私の保護と手助けが必要だと思うのですけど、あなたはどう思います?」
無言しか夫からは返って来ないが、ミコトの主張の正しさは、夫も理解している事だろう。
勘違いとはいえ、クシナとミナトの子への、不当な扱い方をミコトに止めさせようと、夫は苦言を呈したのだから。
そうして訪れた程よい沈黙に、そのまま眠ってしまおうと瞳を閉じたその時だった。
夫が要らない事に気が付いて、床の中から身を起こして声を荒げて騒ぎ出した。
「待て!と言う事は何か!?お前は女の子をサ
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