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NARUTO 桃風伝小話集
その39
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日だった。
家事の手が空いた時間に、いつの間にか静まり返った家の中に気が付いて、子供達の姿を探した時だ。
サスケと二人、陽だまりの中で眠っていたのを初めて見つけたのだった。
睡眠の足りない体で、朝からサスケのやんちゃに付き合わされて、きっと体の限界だったのだろう。
サスケの方も、朝から遊び相手がいる珍しい状況に、はしゃぎ疲れてしまったのだろう。
お互いの肩にもたれ合うようにして、縁側の日向で眠っている微笑ましい姿に、風邪をひかぬようにと掛布を手に近付けば、その時はまだ、警戒も露わに一瞬で跳ね起きられてしまったけれど。
あれから、少しづつ、あの子はミコトの家で眠りに就く時間が増えて行った。
戸締りの見回りで顔を出すと、どうしても目を覚まさせてしまうようだったが、それでも今日は。
安心しきった健やかな寝息を立てたまま、ミコトがサスケの部屋を後にしても、終ぞ覚醒してくる事はなかった。
一年かけて、漸くだ。
喜びと深い感慨で、ミコトの胸は一杯になる。
恍惚とした溜め息交じりに夫に述懐していった。
「戸締りの確認ついでにサスケの部屋に顔を出すと、いつもあの子は意識を覚醒させて目を覚ましてしまうのに、今日は私が顔を出しても、サスケの部屋で二人そろってぐっすり眠りこんでいて。部屋を後にしても、ずっと寝息を立てていてくれたのが嬉しくて」
そう。
漸く、本当の意味で、クシナの子は、ミコトに気を許してくれたのだ。
今まで、人柱力としてどんな環境に置かれていたのか。
これまでの振る舞いで、上忍でもあったミコトには考えるまでもなかった。
うちはは、忍の一族だ。
ミコトの話に、夫も察するものがあったのだろう。
夫の沈黙には、深い理解の色が滲んでいた。
だからついつい、浮かれた気持ちで、普段は秘めている願望を口走ってしまった。
とてもとても嬉しかったから。
「将来、あの子がイタチかサスケのお嫁さんになってくれる未来も捨てがたいけど、このままあの子を引き取って、家の娘として育てられたら、それもまた素敵だなと、そう思ったんです」
「は?何を言っている?」
年甲斐もなく、うきうきと浮かれた素振りを隠さず告げた途端、存外頭の固い所のある夫が、不審そうな声を上げた。
咎めの色が乗った夫のきつい声に、ミコトの浮かれ、喜ぶ気持ちに水が差された。
うちは一族の長の妻という立場の自分を、強制的に呼び覚まされる。
すっと真顔で、立場を考えない浮ついたミコトの言動への叱責だろう夫の二の句に備えた時だった。
「ミコト。常々思っていたが、あの人柱力にクシナ殿を重ねて女扱いするのは止めろ。ちゃん付けするのもだ。どんなに面影があろうと、あれは男だ。クシナ殿ではない。それに、中身はミナト殿に似ておっとりしていて、疑問も持たずにお前のお遊びに大人しく付き合ってくれ
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