暁 〜小説投稿サイト〜
NARUTO 桃風伝小話集
その39
[8/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ているうちは一族の長の妻で、ミコトが手元に置こうと願っているのは、その木の葉の里の人柱力なのだから。
それでも、子の寝顔に感じるものは隠せない。
家の中の戸締りと見回りを終えて、寝室の床の中で、寝床は違えど、同じ方向を向いて同じ部屋で、揃って無邪気な寝息を立てていたミコトの子のサスケと、クシナとミナトの遺した子の寝顔を思い出し、ミコトは幸せな気持ちに包まれ、思わずくすりとした。
闇に閉ざされた褥の中で、ひっそりと漏らしたミコトの笑みを、共に休もうとしていた夫が捉えて尋ねてきた。
「どうした?」
柔く、眠気の滲む優しい声で。
夫に気遣われた喜びに、小さく微笑みながら、隠すことでもないので、素直に打ち明ける。
「ナルトちゃんの事です」
どうも夫は、人柱力である友人達の残した子に思う所が有るようで、あまり親身になろうとせず、積極的に構うミコトにもあまりいい顔はしていない。
けれど、黙認はしてくれている。
ミコトとて、一族の長を務めている夫が何を危惧しているのか分からない訳ではない。
ミコトは、マダラが木の葉と袂を別った後、マダラに変わって、長の座を継いだマダラの甥を祖父に持つのだから。
ミコトが里に警戒され、クシナから遠ざけられたのは、ただ、うちは一族だったからだけじゃない。
ミコトが、『木の葉』に弓引いたうちはマダラと近い血縁にあるからだ。
ミコトが男だったのなら、ミコトはもっと里から警戒されただろう。
先代の長である父と同じように。
それでも、先の人柱力はミコトの友で、今の人柱力はミコトの友人達が遺したたった一人の子なのだ。
一族の安寧には変えられないとは言えど、無視もできない。
我儘だとは分かっている。
けれど、ミコトはもう、これ以上、下らぬものに気兼ねして、ミコトの大切な者を手離して、永遠に失う事にはなりたくないのだ。
たとえそれが、木の葉と一族の双方を煽り、相争わせる因になろうとも。
これ以上、ミコトの大切な者達を奪われてなるものか。
里に。
木の葉に。
一族に。
だからミコトは、忌憚なく己の胸の内を曝け出した。
夫は、ミコトのこの気持ちを知っていて、きちんと受け止めてくれているから。
「あの子、漸く私の気配に目を覚まさなくなったんですよ」
夫に告げる口調に喜色が混じるのも仕方ない。
初めて友人達の子をミコトの家に無理やり泊めた日は、気を張り過ぎて一睡もしてくれなかった。
それでも諦めず、何度も家に呼び、理由をつけて泊まらさせて、そうして、少しづつ警戒を緩めてくれて、少しづつミコトの家で眠ってくれる様になっていった。
きっかけは何だったか。
そう。
サスケに連れられて家に来て、サスケの我儘でサスケとイタチに扱かれて。
泥だらけになったあの子を引き留めて、週末だからと幾度目かに家に泊めた翌
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ