その39
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クシナの恋敵を牽制したりするのに、自来也の弟子で、ミナトのマンセル仲間という立場は、ミコトにとって大変都合の良い立ち位置だったのだ。
まあ、あまりにもミナトが鈍すぎて、ミナトに余計な茶々と横槍を入れる自来也共々、師弟揃って消してしまおうかと殺意を抱くことは常だったし、クシナからの的外れな嫉妬を受けて、何なら、二人ともミコトの写輪眼で操って、無理やりひっつけてしまおうかと煮え湯を飲むこともざらだったけれど。
それでも、だからミコトには、クシナの最も親しい『友』は自分であるとの自負があった。
そして、ミコトは、自分が一族の為に、一族の長となる婿を迎えて、一族の長の妻として、ミコトの一族を盛り立てて行かねばならず、人柱力として、三代目の次の『火影の妻の座』が確約されてしまっているクシナとは、将来、忌憚ない友のままではいられないだろうという諦めも、口には出せずとも常に胸の裡には必ずあった。
事実、念願叶ってミナトの妻となったクシナは、ミコトと距離を置いた。
四代目火影に就いたミナトの妻として、ミコトの前で、ミコトの友ではなく、『火影の妻』として振舞うようになった。
それはクシナの意思ではなく、うちはと千手の、ひいては忍の意を封じんとする火の国の意を汲み、うちはマダラを危険視し続けたという千手扉間の意を大義名分に振りかざして題目に唱える者達の暗躍の結果だ。
初代からの意を継ぎ、共に二代目の教えを受けて戦を生き延びた戦友である志村の調略に簡単に乗ってしまう三代目同様に、木の葉の本当の意義を知らぬ志村や猿飛の意思にやすやすと調略され、不自然なまでに『火影の妻』たらんとして、『うちは一族』の長の家系で、現長の妻であるミコトを警戒し、遠ざけようとするクシナに。
寂しさや不満を覚えなかった訳ではない。
ミコトやうちはをないがしろにされる恨めしさを感じなかった訳でもない。
それでも。
お互い、一人の女として。
それぞれの立場で。
それぞれの守るべきものを選んだ、と。
ただ、それだけの事なのだと、クシナに先じて母となったミコトは悟っていた。
それに。
いずれ『火影の妻』となる事が確実であるクシナの傍に少しでも近くある為に、ミコトが上忍の資格を得るまで、ミコトの婿取りは引き延ばす事はできたが、その代償はこれ以上なく痛かった。
よもやまさか、うちは一族の総領娘であるミコトの婿取りを理由に、里から忍を辞めさせられ、クシナから物理的に遠ざけられるとは思わなかった。
運良く、婿に取ったフガクが、様々な事情に理解ある、争いごとを好まない穏やかな気質の男で、結婚によって自由に動けなくなるミコトの代わりにと顔を繋ぎ、個人的にも能力的にも期待を寄せて、ミコトが次の火影にと密かに推していた、ミコトのマンセル仲間で、フガクと同じ気質の、クシナの恋人のミナトと意気投合し
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