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ドリトル先生の林檎園
第七幕その十

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「大坂の陣で討ち死にしているよ」
「武運つたなくだね」
「けれど首が三つあったというし」
「影武者かな」
「若し本当に幸村さんが死んでいても首は一つだね」
「実際にね」
「知略も凄い人だったから影武者がいてもね」
 この場合もというのです。
「実際にいたらしいから」
「それじゃあ」
「そう、それでね」 
 だからだというのです。
「幸村さんもね」
「影武者かな」
「そうも言われているしね」
「じゃあ本当にわからないんだ」
「うん、どうも秀頼さんの息子さんも」 
 この人もというのです。
「捕まって京都で斬られたとあるけれど」
「その実は」
「家臣の人に連れられて落ち延びたという説があれば」
 その他にというのです。
「岸和田の木下家に匿われていたとも言われてるんだ」
「木下家は確か」
 そのお家の名前を聞いてトミーが言いました。
「秀吉さんの正室のねねさんの実家ですね」
「お兄さんの家だよ」
「じゃあ秀頼さんとも近いですね」
「そうなるね、実のお母さんじゃないけれど」
「それじゃあ」
「うん、秀頼さんの息子さんをこっそりね」
 先生はトミーにお話しました。
「落ち延びたところを」
「匿っていたんですね」
「後でこの家次男さんが分家して小さな大名になってるけれど」
「その次男さんが実は」
「そう言われているんだ」
「よく幕府にばれなかったね」
 王子はこのことを不思議に思いました。
「そのお家に秘かに秀頼さんが逃げ延びたってお話もあったらしいけれど」
「当主さんの一子相伝のね」
「そうだったしね」
「秀頼さんもそうで」
「息子さんも」
「実はってお話もあるんだ」
「そっちの方が有力なんだね」
 王子もお話を聞いて思いました。
「むしろ」
「そうだね、あの人の方がね」
 秀頼さんの息子さんの方がとです、先生は王子に答えました。
「むしろね」
「ううん、本当に幕府にばれなかったね」
「顔を知ってる人がいたか」
 幕府にです。
「秀頼さんの息子さんのね」
「そのこともあってかな」
「あと幕府も実はわかっていても」
「死んだということになってるから」
「その人が何も言わないとね」
 それならというのです。
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