ボス攻略(2)
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トも多いから、ボスとしては弱い部類だぜ、あれ」
「そうなの?」
ころっ、と楽しげに白コートのアバターが言う。
……ネットマナーとしては初対面では敬語が基本だし、俺自身もよけいなトラブルを生みたくないので極力敬語をつかうようにしている、のだが、となりの少女はそんなのしらん、とばかりに親しげに声をかけてくる。
不思議に不快に思わないのは、声音が透き通っているからだろうか。
とりあえずおにーさんと呼ばれてしまったので、解説する。
「ああ。それにHPバーもコンスタントに減らしているし、ぼちぼち総攻撃のしどきだな」
「総攻撃かー。あのボク、ボス戦はじめてなんですけど、その……あいつの弱点って、もしかしてあそこ?」
今更のように敬語を使いつつ、白コートアバターがウェンディゴの頭上を指さした。
動きに少々驚いた。仮想空間でアバターを手足のように動かすのには慣れが必要だ。
に、対していまの挙動はあきらかにアバターの使い方を熟知しているなめらかな動きだった。
「……」
思考が壁にぶつかった。
そもそも、隣の白コートアバターは本当に少女なんだろうか。だってほら、男性型アバターなのに、見目麗しいまるで女性型アバターをなんてものも存在し、それを引き当ててしまう、ウルトララックのプレイヤーも世の中にはいるわけだし。隣のなぞアバターは分厚いコートとその上からブレストプレートという格好なので、女性的な特徴は皆無、でしかもこれがちょっと高めの少年ボイスということも、むにゃむにゃ。
再びはじめてしまった、取り留めのない思考を収斂させて白コートに答える。
「そのとおり、あの角があやしいよな。他のスケルトン系のモンスターにはない特徴だし、ねらってみる価値はあるんだけど……。ただねらいにくいんだよな」
弱点らしき赤角は、直立すると五メートル以上に達するウェンディゴの天頂部にある。あそこを意図的にねらうのは実質不可能だ。場所が高すぎる。
「――両手昆の縦攻撃時には、ちょうど頭がさがってくるから、それをねらいに行くって手もあるけどタイミングがピーキーすぎるし、現状はちょっとむずかしいな」
「んー……飛べればいいのにね、ボスフロアでも。そしたらあんなところにある弱点なんて狙いたい放題でしょ」
「そりゃ……まあ、そうなんだけどな。アインクラッドの迷宮区は飛行禁止だし……いや、でも飛ぶ、か」
ALOニュービーと思われる少女?の発想に何かが思考をかすめる。いまウェンディゴはアスナを追いつめようと突進しながら、壁際へと向かっていた。壁を背にしたアスナの動きがウェンディゴから離れる縦軌道から、横軌道に変化した。こうなると厄介なウェンディゴの横振り回し攻撃だが、そもそもバックモーションが大きいため、アスナは余裕で回避
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