ボス攻略(1)
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範囲外まで下がり、手短のメイジにリバフをお願いし、ダメージをポーションで回復させる。レモンと緑茶を混ぜた清涼感あふれる液体をのどに流し込みつつ戦況を見守った。
「いやらしいAIだよな、あいつ」
ついグチっぽくつぶやいてしまう。
スケルトン型モンスターにはバッドステータス系魔法が効かないことが多い。ウェンディゴも基本的にそれを踏襲しているので、阻害系の魔法はほぼはじいている。そうなるとダメージディーラーの物理攻撃またはメイジの魔法が鍵になってくるのだが、イヤらしいことに、ウェンディゴは攻撃に対するヘイトの増加率が高めに設定されていようで、ダメージディーラーが全力攻撃ができない。
しかも――。
人間で言えば瞳の部位に灯る、紫色の炎の強さが増した。眼窩で膨れ上がった炎はさながら花火のように周囲にまき散らされ、円形上に広がっていく。ウェンディゴを中心に攻撃をおこなっていたプレイヤーの何人かが壁のごとく押し寄せる炎の波にまきこまれ、その瞬間、いままで軽快に動いていたプレイヤー達の動きが明らかに緩慢になった。
あの紫色の炎には、ダメージはないものの、軽いノックバックと敏捷力をマイナスさせるデバフ効果がある。
動きをゆるめたプレイヤーに追い打ちをかけるべく、手に持った昆を頭上で回転させ始めるウェンディゴ。この強攻撃準備中にある程度のダメージを負わせれば、広範囲攻撃をファンブルできる――しかし、この即席パーティのメイジ火力ではそれが行えない。炎の範囲外で待機し、デバフを避けた上でダメージディーラーがソードスキルで押し切るのも手段としてあるにはある。しかし、もしもモーションが止まらなければミイラとりがミイラになってしまうので、迂闊に近づけない。
何者にもじゃまされず、ボスモンスターは遠心力を乗せた昆を地面にたたきつけた。薄暗闇色のライトエフェクトが放射線上に広がり、よける、守るもままならず、ウェンディゴの餌食になるプレイヤー達。
これがもしSAO上で行われていたなら、HPを無くした瞬間永久に退場となるので未だにこの光景は、心臓に悪い。
が――。
葬られ、リメンライトとなったプレイヤーに暖かな光が降り注ぐ。メイジによる蘇生がおこなわれ、再び妖精たちに実体が生まれた。一度リメンライト化するとバフがはずれてしまうので、蘇生したプレイヤー達はどこかのタイミングで下がる必要がある。盾役も葬られてしまったため、その瞬間だけは誰かがボスのターゲットを取らなければならない。
よし、ここは一丁俺がダメージリソースぶち込んで、とさっきからボスのヘイト以上に溜まっているフラストレーションを解消しようと一歩踏み出すと――。
「や、あああああ――っ!」
メイジの詠唱やら戦闘音やらでそれなりに騒然としているボ
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