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子供の言うこと
第三章

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「後は勉強だ」
「私達で童貞卒業しないの」
「何度も言うがするか」
 やはりこう返す岳だった。
「そんな言葉は十年後言え」
「十年後?」
「お前もそこの娘もな」
 みおだけでなくあやにも言った。
「本当にな」
「十年後って」
 みおは岳のその言葉を聞いてあやに話した。
「私達十六歳よね」
「高校生よね」
「その時になのね」
「言えばいいのね」
「俺は二十五だ、とはいってもな」
 ここでこうも言う岳だった。
「その頃に彼女出来ていたら別にいいな」
「えっ、十年後でもなの」
「いいの」
「その時にならないとわかるか」
 その時のことはというのだ。
「というか二十五で経験ないとあと五年待つか」
「五年?」
「五年なの」
「そうしたら魔法使いになれるっていうしな」 
 三十まで待てばというのだ。
「その時はな」
「やれやれね、つまらない男だわ」
「がっかりしたわ」
 二人は岳の言葉に今度はすかした顔になって肩を竦めてみせた。
「これは将来残念ね」
「大した男にはならないわ」
「汚職する政治家にも殺人鬼にも」
「カルト教団のインチキ教祖にもなれないわね」
「どれも碌なものじゃないだろ」
 それこそとだ、彼は言ったのだった。
「お前等俺に犯罪者になれって言うのか」
「だからそうした人になれないっていうの」
「大物にはね」
「将来が残念よ」
「本当にね」
「そうなった方がいいな、犯罪者になるよりはな」
 それこそとだ、岳はゲームをなおしながら話した。
「残念な男になった方がいいな」
「やれやれね」
「これは将来期待出来ないわね」
「期待しなくて結構だよ」
 こう言ってだ、岳は自分の部屋に入ってだった。そのうえで勉強をはじめた。その後二人は何も言わなかった。
 そして十年後岳は高校に進学し大学を卒業して就職して結婚した、その結婚式の後のパーティーの場所にだった。
 みおそして今も彼女の友達であるあやもいた、二人共女の子らしい服を着てそのうえで岳を祝っているが。
 岳は十年前のことを覚えていた、それで今はすっかり清純派になっている二人に対して言ったのだった。
「お前等二人共な」
「二人共?」
「っていいますと」
 喋り方も変わっていた、礼儀正しくお嬢様のものになっている。何でも二人が中学時代に会った先輩の影響らしい。
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