その33
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ルトは、いつものように戻ったようでいて、どこかサスケに刺々しい。
利便性の面から、もう良いなどと言い出したナルトに、勿体ないと思った気持ちが消えていく。
それと、ナルトの口から、自分達以外の人間の名前が呼び捨てられて出てきた事に、チクリとした違和感を胸に感じた。
以前、ナルトと同性とは言え、自分以外にナルトが呼び捨てにする人間が木の葉に居ると知った時にも感じた違和感だ。
そして恐らく、これがナルトの不機嫌の理由の筈だった。
「…ナルト。お前、そんなにサクラの事が嫌いだったのか」
慇懃無礼でシニカルな所はあるが、基本的に人当たりの良い態度を取る事の多いナルトの好悪は、実は少し掴みにくい。
極端に好きな相手と嫌いな相手への態度は分かりやすいものの、そこまで好きでも嫌いでも無いものの区別は分かりにくいのだ。
そしてナルトは、環境故か、多少自分に不利で気に入らなかろうと、基本となる大まかな道理さえ通っているなら、不満を飲み込み、我慢する傾向が強い。
その分、陰で不機嫌になったり、手が付けられない程荒れたりするのだが。
そして、その不機嫌は、主に食事の内容にぶつけられる。
飯にあたるのは正直止めて欲しいとサスケは思う。
食える物を出されるならば問題は無いが、食べられない物や食べたくない物を出されるのが一番困る。
作って貰っている手前、文句も言い辛い面もあるし。
愚痴愚痴と、誰かに対する悪口めいた物を、決して口に出そうとしないのは、ナルトの美徳の一つだとは思うが。
あんな境遇に置かれて居るのに、ナルトがはっきりと自分の負の感情を口に出したのをサスケが聞いたのは、昔、一度だけ聞いたっきりだ。
それ以来、ナルトはその事についても漏らした事は一度も無い。
感じて居ないわけで無いだろうに。
嫌悪も、不満も、怒りも。
ナルトは何もサスケには伝えて来なかった。
伝えて来るのは、嬉しい事、楽しい事。
それだけだった。
そう言えば、悲しい事も、ナルトは何も伝えて来る事が無かったな、と、サスケはたった今気が付いた。
少し前、四代目に対する鬱屈を、ぽろりと溢してはいたが。
だが、その時も、ナルトのそれは、直ぐにサスケの前から隠されてしまった。
そんなナルトに、少しだけ燻る物を感じてはいても、サスケ自身、ナルトとこんなにも長く深く関わるつもりは更々無かったから、今まではそれで良しとして来ていた。
けれど。
先日、サスケの胸で涙を流して泣き疲れて寝入っていたナルトの寝顔が、サスケの脳裏にちらつくようになった。
今までも、ナルトはあんな風に誰かの胸で泣いた事があったのだろうか。
いや、きっと、サスケの知らない所では泣いていたのだろう。
ナルトは意外と涙脆い。
それに、薄々サスケも感付いている。
ナルトは、夜、しょっちゅう悪夢に魘さ
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