暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン クリスマス・ウェイ
攻略準備(2)
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
なダメージリソースの固まりみたいなのををぶち込めば安定する、か。さすがというかなんというか……」
「これでも昨日の夜寝ないで考えたんだよー……からかわないで」

 称賛自体はもちろんありがたかったが、アスナはそもそもボス攻略自体にはさほど興味がない。
 ボス攻略は「ホーム」購入を果たすためだけの、手段でしかないからだ。ボスを倒した栄誉も、報酬にも興味がない。

――ごめんね、みんな。

 アスナは集まったメンバー全員に心の中で謝った。
 各階層のボス攻略といえば、ALOに存在するクエストの中でも花形中の花形だ。黒鉄宮の《剣士の碑》に名を刻む栄誉も、膨大な報酬もながしろにしているアスナは、いちMMORPGプレイヤーとしてどうしてもうしろめたい感情がある。

 だからリーファとシリカが伝えてくるまっすぐな感情を、どうにもうまく消化できない。
 そして――SAOサバイバーで元攻略組の、アスナも顔と名前を知っている何名かのささやきは、さらにアスナの心を波立たせている。

 さすが伝説の血盟騎士団副団長だ、と。

 そのささやき声を意識したとたん、くっと息苦しくなった。
 少し前から胸に抱いている感情が、ぐずぐずと頭をもたげてきて――

「また、まじめなこと考えてるでしょ」
「え? ひゃっ!」

 となりにいたリズベットにわき腹をつつかれ、飛び上がる。
 準備にとりかかっていたメンバーが何事かとこちらに視線をよこした。
 なんでもありません、と手振りで伝え、アスナはリズベットに振りかえる。

「もおー。いきなりなにするの?」
「真面目なことを考えてる顔してたから。当たりでしょ?」
「……うん。大当たり」

 またわき腹をつつかれないように警戒しながらアスナはリズベットにうなずいた。
 はあ、と大きくため息をついた後、リズベットはするっ、とアスナの胴に腕をまわした。
 十分に警戒していたにもかかわらず、絶妙な呼吸で腹部に回された手をアスナは弾けない。
 普段こういう、積極的なスキンシップをしてくるリズベットでないだけにアスナは体を固くして、リズベットの言葉を待った。

「アスナが今日のためにどれだけがんばってきたのか、あたしたちはよく知ってる。何時間もダンジョンこもってさ。だから――最後くらいわがままになってもいいんじゃないの? そもそもボス攻略に最速で参加したって、そのままクリアできるわけじゃないもの」
「そうですよ」

 こくこく、にこっと、春の日差しのように微笑むリーファが続ける。

「アスナさんが指揮をとるから攻略の可能性もあがるんです。 アスナさんも知ってると思いますけど、フロアボスってかなり手強くて十分に準備をしないと撃破は難しいです。だから指揮するアスナさんがちょっと我が儘する
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ