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ドリトル先生の林檎園
第六幕その八
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「先生の日本への知識は凄いものがあるよ」
「日本語もこれだけ知っていたら」
 それこそと言うダブダブでした。
「立派な日本語学者さんよ」
「実際にそちらの論文も書いてるね」
 チーチーはこのことを知っています。
「それも幾つか」
「日本語の文章もすらすら書けるし」
 ポリネシアも見ていて感心していることです。
「お話する感じも自然だから」
「そういえば先生の言葉ってそれぞれの言語に合ってるね」
 ジップはこのことに気付きました。
「英語の訛りがないよ」
「色々な言語を喋られるだけじゃないんだよね」
 最後に言ったのは老馬でした。
「それぞれの言語を奇麗に喋って書けるんだよね」
「やっぱり先生は語学が一番得意かな」
 王子も皆のお話を聞いて思いました。
「学問の中でも」
「いや、僕は医者だからね」
 先生は王子に笑って返しました。
「だからね」
「医学がだね」
「一番得意だよ、ただね」
「ただっていうと」
「流石にブラックジャックみたいにはね」
 この漫画の主人公の様にはというのです。
「いかないよ」
「あの漫画みたいに鮮やかにはだね」
「手術は出来ないよ」
「確かに先生はそんなキャラクターじゃないね」
「うん、天才ではないから」
 そこは間違ってもというのです。
「ただどうも一度読むとね」
「すぐに頭に入るんだね」
「それでよく覚えられるんだ」
「だから学問が得意なんだね」
「そうだと思うよ、有り難いことにね」
「そして医学もだね」
「やっぱり一番自信があるね」
 とはいっても先生は自信家かというと決してそうではありません、そして慢心したりすることはもっとありません。
「学問の中で」
「自分のお仕事だね」
「思える位ではあるよ」
「そうなんだね」
「うん、ただね」
「ただっていうと」
「僕はどうも得意不得意がはっきりしているから」
 それでというのです。
「運動とかは駄目だね」
「そちらの能力はないんだね」
「もうスポーツは何をしても」
 それこそというのです。
「駄目だからね」
「それは僕も知ってるけれどね」
「ダンスも駄目でね」
「あと歌もね」
「音痴だね」 
 こちらも苦手だというのです。
「それもかなりね」
「あれっ、音痴なんだ」
「うん、実はね」
 先生はお蕎麦を食べつつ少し困ったお顔を見せました。
「そうなんだ」
「それじゃあ先生の場合は」
「もう運動とか音楽はね」
「全く駄目ってことだね」
「そういう人間なんだ」 
 これが先生の言葉でした。
「僕はね、それでこの外見だしね」
「もてたことはないっていうんだね」
「そうだよ」
 ここでもこんなことを言うのでした。
「本当にね、ただな」
「ただ?」

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