才能と素質 前編
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する事間違い無しの台詞に、激しく首を縦に振って同意するピエッサ。
そんな彼女を横目で見てクスッと笑うと、本格的に演奏モードに入るリュカ。
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リュカが奏でた曲は前世の世界で有名な楽曲だった。
従ってこの世界に生きるピエッサには初めて聴く新鮮な楽曲だった。
そして……リュカが元いた世界の人々と同様、ピエッサの心に大いなる感動を与える楽曲でもあった。
「す、素晴らしいです! な、なんて素敵な……それでいて心が高揚する曲なんでしょう!! この曲は陛下が作曲になった曲ですか?」
「え! あ、あぁ……うん。この世界ではそうなるかなぁ?」
「流石です! 素晴らしいです!! 感動しました!!!」
目の前の国王は“この世界では”と不思議な事を言ってるのだが、感動の余りテンションが上がりっぱなしのピエッサには聞こえておらず、“リュカが作った”と言う都合の良い言葉だけが脳内に焼き付く事になった。
元々が素晴らしい曲をただ披露しただけだったのだが、観客の激しい感動と曲に対する質問攻めに遭い、流石のリュカもドン引き状態。
フリーの女性であればこの気に口説くのだが、ピエッサはリュカのターゲッティングから外れており、彼女のテンションに辟易模様。
彼女の猛攻を躱したくなったリュかは……
「そ、そうだ……この曲あげるよ」
「……は?」
「ほ、ほら……もうそろそろ芸高校で作曲の課題があるでしょう。それで使っちゃってよ。君が作曲したって事で良いからさ」
「そ、そ、そんな訳にはいきません! こんな素晴らしい曲……陛下が作曲なさったんですから陛下のお名前で世に広めるべきです!」
「あ……うん、それそれ。僕もこの曲を世に広めたいんだけど、『王様が作った曲だから素晴らしい』って音楽の知識も無いイエスマンに、中身の無い評価をされたくないから君が広めてくれると助かるんだよね」
「い、いえ……でも、しかし……」
「まぁまぁ……今、譜面書いちゃうから」
もう既に押しつける気満々のリュカは、手近にあった未記入の五線譜にサラサラッとコンデンススコアを書いてピエッサに押しつける。
なお、押しつける際にワザと胸を触る様押しつけ、条件反射で胸を庇う様に腕を沿わせ胸と腕で譜面を抱く感じにして、タイミング良くリュカは手を離し一目散に退出する。
彼にしか出来ない芸当だ。
疾風のごときセクハラと退散に呆気にとられてる中、ハッと胸の中の譜面に気が付くピエッサ。
如何したモノかと思いながら王様が残した譜面に目を落とす……
一瞬で書いた物なのにとても見やすい譜面には『ドラゴンクエスト序曲のマーチ』と題名が書かれていた。
「ドラゴン…
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