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レーヴァティン
第百三十四話 熊本城攻略その三

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「結界を破る位の術者でないとね」
「出来はしない」
「それでもだね」
「そうだ、やはり忍の者がいるとな」
 それでというのだ。
「違う、だからな」
「忍の者達も使うね」
「そうして攻める、そして時を見て」
 英雄はさらに言った。
「城の門と櫓に砲撃を仕掛け」
「潰してね」
「今はそれも難しいが」
 熊本城は堀も広い、その為大砲を堀のギリギリに置かなくては砲撃は出来ない。鉄砲や術も同じである。
 だがその距離になれば敵の鉄砲や術が届く、弓矢もだ。しかも堀が段になっていて櫓や城壁からの攻撃は高所からになっている。余計に届きやすいし威力も高くなっているのだ。
 だから今はそうした攻めは難しい、だがそれでもというのだ。
「城の中を乱してな」
「機会を作るね」
「城攻めはまず中に入ることだ」
 城の中、そこにというのだ。
「それを出来ればな」
「まず勝ちだからね」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「まずはだ」
「城の中に入るね」
「そうする、常に俺は俺自身に言い聞かせている」 
 英雄はその熊本城を見据えて話した。
「不可能と思われることも実は可能であることが殆どだ」
「世の中はね」
「そうだ、出来ないと思い諦めるとな」
「そこまでだね」
「しかし出来ると思いやろうとするとだ」
 そうすればというのだ。
「出来る」
「世の中はそうしたことが多いね」
「殆どがそうだ、だから城もだ」
「難攻不落でもだね」
「実は違うものだ、攻め落とせない城もないしな」
「今もだね」
「攻め落とす、あの城を攻め落とせば」
 それでというのだ。
「九州の連中は一番の守りの要も失い多くの兵もだ」
「失って」
「そしてその痛手で俺達と正面から戦える戦力はなくなる」
 そうもなるというのだ。
「だからだ」
「ここでだね」
「必ず城を攻め落としな」
「そしてだね」
「九州の戦の趨勢を決める、ここで決めれば」
 どうなるかもだ、英雄は話した。
「九州の戦は敵の本拠地薩摩に入るまでにな」
「終わるね」
「そうもなる可能性がある」
 その可能性もあるからだというのだ。
「だからな」
「必ず攻め落とすね」
「今夜な」
「それじゃあ」
「俺達も城に入る」
 その用意をすると言ってだった、英雄は命を下した。すると雨の夜の中に何かが動いた。
 熊本城の者達は気付かない、彼等は雨夜の中で身構えていたが。
 敵が来ないので次第に焦れてきた。
「早く来い」
「夜だから寝かせろ」
「しかも雨まで降ってきやがった」
「こんな時に雨か」
「よりによって最悪だな」
「全くだな」
 雨の夜の中での布陣に腹立ちも感じていた。
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