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ドリトル先生の林檎園
第六幕その五

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「天婦羅そばは宮沢賢治さんの好物でもあったんだ」
「ああ、あの銀河鉄道の夜の」
「そう。あの人もね」
「そうだったんだね」
「あるお店に入ると」
 その時はといいますと。
「この天婦羅そばとサイダーを注文していたんだ」
「そして飲んで食べていたんだね」
「そうだよ、長野県とはあまり縁のない人かも知れないけれど」
「天婦羅そばにはだね」
「縁があるんだ」
 そうだというのです。
「あの人はね」
「それもまた面白いね」
「意外と文学に縁のあるお蕎麦かも知れないね」
「そう言われるとそうだね」
「そう思いながら食べると余計にいいかもね」
「そうだね、しかし先生はね」
 ここでこうも言った王子でした。
「日本のことに詳しいね」
「日本に来てからそうなったね」
「そうだよね」
「日本に来る前は」
 それこそというのです。
「あまり知らなかったよ」
「そうだったね」
「それがすき焼きを食べて」
 王子が紹介してくれたこのお鍋をというのです。
「それがね」
「変わったね」
「その時からね」
「僕の日本はね」
「あのすき焼きからはじまったね」
「うん、それまでも日本について色々調べていたけれどね」
 この辺り流石先生でしょうか、学問なら何でもという学者さんの。
「それでもね」
「今はだね」
「うん、本当にね」
 実際にというのです。
「こうしてね」
「お蕎麦も食べてね」
「長野県のことも知っていって」
「日本人よりも日本人かも知れないね」
「そうかな」
「だって温泉大好きで」
 このことがあってというのです。
「作務衣もよく着てるしお布団の中で寝て」
「最近日本でもお布団は減ってるかな」
「そちらで寝る人はね」
「けれど畳のお部屋の中でお布団で寝ることは」
「凄くいいんだね」
「これがまた気持ちいいんだ」
 こうして寝ることはというのです。
「凄くね、ベッドもいいけれど」
「お布団もだね」
「本当によくてね」
「今じゃお家ではだね」
「旅館でもね」
 そちらで泊まっている時もというのです。
「お布団だけれど」
「いいんだね」
「うん、凄くね」
 そうだというのです。
「そしてそれもだね」
「先生が日本人よりもね」
「日本人らしくなってるんだね」
「そうも思ったよ、日本語も上手だし」
「このこともだね」
「本当に普通に喋られてるね」
「どうも僕は語学が一番得意みたいだね」
 学問の中でというのです。
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