27 久しき食事
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、まき子は奈美子と出会った。
「ええー!?鍋が魔法の鍋になって刺身にもなったの!?凄いな!家はマグロに芋って不釣り合いな組み合わせだったんよ〜!!」
奈美子は話を聞いて羨ましく思った。
「まあ、でも、食べられただけいいじゃん」
「まあ、芋はウチの弟が何とか手にしたんだけどね。そうだ、何か他にも食べられたらいいな」
奈美子は持っている護符に何かを感じた。すると、お金が70円ほど出てきたのだ。
「ご、護符がお金を出した」
「そうだ、奈美子ちゃん、市場行こうよ!アメリカ軍から残飯を分けてもらって配っている人がいるってお父さんが前にも言ってたんだ」
「じゃあ、行ってみるか」
二人は市場へと向かった。
市場、いわゆる「闇市」は賑わっていた。二人は入って商品を見ると、食品はあれど配給時の値段の何倍もの値段だった。普通の人ならまず買えない。
「色々あるね」
「うん、これだけあるならお米も買えるよ」
その時、急に騒ぎが起きた。
「かっぱらいだーーー!」
そこで商いをしている男性の一人の声だった。二人は周りを見回すと、その時、一人の少女とぶつかった。少女は髪を伸ばし、顔は煤で汚れていた。その少女は白米や肉の缶詰を手にしていた。少女は慌てて走り去った。
「あ!お金が!」
奈美子はその少女からお金をすられていた事に気づいた。そしてすぐ先程叫んだ男性が現れた。
「どこに行ったんだ?」
「あ、あの!」
まき子はその男性を呼び止めた。
「その子はあっちに行きました!」
まき子は少女がにげていった方向と反対側の方を指差した。
「よし、あんがとよ、孃ちゃん!」
男性は向かった。
(あの子、親を亡くしちゃったんだ、だから盗みをやるしか生き延びる方法がないんだね・・・)
「まき子ちゃん」
「え?」
「さっきあの子に、お金盗られた」
「ええ!?」
「どうしよう、何も買えなくなっちゃったよ」
しかし、護符の力なのか、すぐまた新しいお金が出てきて、奈美子のもんぺのポケットの中にそれらが貯まる感触を奈美子は感じた。
「あ、新しいお金」
「よかったね、きっと恵んでくれたんだよ!」
「うん、何を買おうか・・・?」
二人は何を買おうか悩んだ。その時、油と煮込み料理の臭いがした。並んで待っている人も多い。二人は店の看板を見てみると、そこには「安いシチュー」とあった。戦中から二人にとってはシチューというのは海軍の偉い人が食べるメニューというイメージで自分達には縁がないものだと思っており、折角だから口にしてみようかと思った。
「10円なら十分間に合うね。並ぼうか!」
「うん!」
二人はシチューの行列の最語尾に並んだ。やがて15分程してやっと自分達の番にありつけた。
「シチューお願いしまーす!」
「あいよ!
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