遊花区のシャトレーヌ
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「話はわかってもらえたやろか。それとも、ちょっと難しかった?」
……どうしてだろう。衝撃的な話のはずなのに、わたしの頭は回るどころか難しい応用問題を聞かされたときみたいに眠くなっていた。
話は複雑だけど、決して聞き流していいようなことじゃないのに……
「ヴァアウ!」
その時、ボールからシルヴァディが出てきて突然わたしの腕に噛み付いた。反応する間もなく、わたしの腕から服越しに血がにじむ。
「な、何するのシルヴァディ!」
シルヴァディはわたしの腕を噛んだままルビアを睨む。急な痛みに、頭がはっきりした。正面にいるルビアは、残念そうにため息をついた。
「……残念、自分から行動するポケモンも持っとるんやね。もうちょっとで夢の中にご案内やったのに、傷つけてしもうて堪忍な」
慣れないことはするもんやないわー。と煙管を口から外す。……まさか、そこに眠り粉でも入れてた?
「どういうこと……わたしを騙したの!?」
「いや? 話したのは全部ほんまのこと。うちの本音で真剣に聞いてもらえれば眠り粉のお香が聴くまで時間をかせげるからね?」
噛まれた場所が焼けるように痛む。これがなければわたしは今頃眠ってしまっていただろう。
「何のために? シャトレーヌとしてわたしを捕まえるため?」
「半分当たり。捕まえようとしとるのはそうやけど……うちは、サフィールの願いを叶えてあげたいんよ。だから、坊のために捕まってや」
【……シャトレーヌでありながら、キュービの意思に逆らうんですか?】
スズの非難するような問いを、ルビアは肩を竦める。
「うちはシャトレーヌである前に人間やからね?チュニンが怒ったのもそうやけど、うちらもそれぞれ目的があるんよ。これでキュービが怒ってうちをクビにするんならそれでもええと思っとるし、はい。ポチッとなー」
ルビアは胸元から小さなリモコンを取り出す。それを操作すると、部屋の襖や障子が光の壁のようなもので覆われた。逃してくれるつもりはないらしい。
「レイ! 玩の形態に!」
ツンデツンデがボールから出てきて、わたしの手に銃として収まり、銃口をルビアに向けた。ルビアは怯みもしない。……ポケモンの技で人にダメージは与えられないからだろう。
「逃げ道を塞いだつもり?」
「察しがええね。そう、ほんとはお客さん招いてポケモンバトルするための装置やけど……この状況ならこう言おか。うちに勝たへん限り、あんたはここから出られんよ」
着物の帯からカードを取り出すルビア。その中の一枚を、リモコンにスキャンする。
『スタジアム、ダストアイランド発動』
リモコンから声がして広い座敷の景色が塗り替えられていく。畳は紫色の汚れた掃き溜めに、わたしとルビアの
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