親しき仲にも礼儀なし
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ンの技で他人を傷つけることはできない。だからこそ人間として規格外の身体能力で音も操れるチュニンの格闘術は恐ろしい。
だけど、あれだけ音を出す体の動きなら正確な動きが必要のはず。だからツンデツンデが体にまとわりついてしまえば格闘術は使えない。
身動きを封じている間にできるだけチュニンから距離を取る。
「……やりますね」
「わたしがあなたの格闘技になんの対策もしてないと思ったの?」
「せいぜい壁を作る程度だと思っていたので想像以上でした。やはりサフィールとはものが違いますね」
「……なんで、そこまでサフィールのこと」
チュニンのサフィールへの態度は異常だ。ただ単に嫌い、というだけでは済まない恨みのようなものを感じる。
「あなたには関係ありません、一つ言えるのは、あなたの怪盗ごっこはここで終わるということです──バシャーモ!」
「レイ、戻って! お願いグソクムシャ!」
胸が冷える。……昨日わたしを認めてくれた言葉はただのシャトレーヌとしてのリップサービスに過ぎなかったんだ。バシャーモもチュニンも、わたしへの敵意は昨日の比じゃない。
「……あなたがサフィールと会っていたと聞かされて、驚きました。あまつさえ親しげに、怪盗であることを話していたなどと」
悪鬼羅刹のような顔でサフィールを見下すチュニン。よっぽどサフィールの存在とやろうとしていることはチュニンにとって許せないことらしい。
【むやみにドアを叩いていたのはそういうことだったんですね。チュニンはなんとしても、サフィール君とラディの関係を確かめたかった】
「泣き虫が近くにいるのはわかりましたからね、自然な形で反応を見たかったんですよ」
「そんな事のために、サフィールにあんなひどいことをしたの!? 最低!」
「ええそうですとも! 許しません、あの泣き虫がキュービ姉さまの計画に泥を塗る可能性はあってはいけません。だから、貴女をここで捕まえます!」
「貴女みたいな勝手な人に、わたしは負けない……グソクムシャ、『アクアブレイク』!」
「『フレアドライブ』!!」
グソクムシャとバシャーモが激突する。お互いのポケモンがたたらを踏んだ。
【しかし困りましたね、人が集まってきてしまっています】
スズが耳打ちするようにわたしのイヤホンだけに声を送る。気づけばチュニンの出した音のせいか周りに人だかりができていた。
でも、逃がしてくれるような雰囲気じゃないし……わたしは、チュニンのことが許せない。
本気のポケモンバトルで勝って、理由を聞き出さなきゃ納得できない。
「まーまー? チュニンは今日お休みやのに元気やねー? お客さんも驚いてはるわー」
チュニンもわたしも、引く気はない。そんな状況で遠くから発せられた声は、
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