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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第5話:黄金の時間
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ならッ!?」
「でも…………それでも、行かなきゃいけねえんだよ………………ま、心配すんな! 多分次はもっと早くに会える。だからその時まで、待っててくれよ。必ずまたお前の傍に戻ってくるからよ」

 そう言うと颯人はハンカチを取り出し、それを自身の左手に被せた。左手がハンカチで隠れたのは一秒にも満たない一瞬の時間。だが次の瞬間、彼がハンカチを取り払った時そこにはさっきまで何も無かった左手に一輪の白い花が握られていた。ダイヤモンドリリーと言う花だ。

 颯人は得意の手品で出したその花を、不安そうな顔をする奏の髪に差した。赤い彼女の髪に、白いダイヤモンドリリーの花が映える。

「…………本当だな? 本当に、帰ってくるんだな?」
「あぁ、約束だ。絶対にまた戻ってきて、昔みたいに手品で悪戯仕掛けてやるから覚悟しとけよ?」
「ハンッ! 昔みたいに逃げ切れると思うなよ?」

 互いに挑発的な言葉を投げ掛け合い、颯人はそれに満足したのか奏の傍を離れてウィズの元へ向かう。それを奏が寂しそうに見送っていた時、彼は徐に何かを思い出したかのように踵を返してきた。

「あぁっと!? そうだそうだ、もう一個言っときたい事があったんだ。悪い、ウィズ。もうちょっとだけ待っててくれ!」
「…………急げ」

 苛立ちを滲ませたウィズの言葉に、颯人は急いで奏の所まで戻ってくるとキョトンとした顔の彼女の手を取って告げた。

「お前の歌、最高だぜ。向こうでも聞いてるからな!」

 そう言うと彼は今度こそ奏の元を離れ、ウィズの所へ向かう。2人が並び立つと、ウィズが右手の指輪を付け替えバックルに翳した。

〈テレポート、ナーウ〉

 光と共に一瞬でその場から消える颯人とウィズ。正に魔法としか言いようがないその光景に翼は目を丸くし────

 一方の奏は、再び彼が行ってしまった事に涙を浮かべつつ、彼が最後に告げてくれた言葉に笑みを浮かべるのだった。
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