暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第5話:黄金の時間
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防ぐ為に奏は右手の中指に嵌った指輪を抜こうとした。

 だが──────

「あ、指輪外してもパスは繋がったままだから意味ないぞ?」
「何てことしてんだッ!?」
「そうしないとお前がまた同じような無茶するかもしれないからに決まってんだろうが。まぁどうしてもパスを外したいってんなら俺を殺せば嫌でもパスは無くなるけど……」
「出来るかんな事ッ!?」
「じゃ、諦めるしかないよなぁ」


 何を当たり前の事をとでも言うかのように告げる颯人に、奏は言葉を失った。

 その一方で、翼は颯人の言葉に少なからず頷いていた。奏の性格だ、今後も似たようなシチュエーションになったら躊躇わず絶唱を使おうとするだろう。
 それは翼としても許容できるものではない。

 だがだからと言って、颯人の行動を認められるかと言われれば話は別だった。

「でも、それだと今度は貴方の命が危険に晒されるんですよ!?」
「うん、それなら平気平気。俺こう見えてかなり頑丈だから。この程度のこと屁でもねえよ」
「いえ、でも────」

 あっけらかんとした様子を崩さない颯人に、翼は困惑混じりに話し掛ける。

 確かに彼の言う通り、彼は奏の絶唱のバックファイアのダメージに耐えきった。だが、今後も確実に耐えられると言う保証はない。

 その結論に至ったからか、奏は飄々とした様子の颯人に拳を叩き込んだ。

「この馬鹿ぁッ!?」
「あいてっ?!」
「ちょっ!? 待って奏、この人は──」

 曲がりなりにも怪我人に振るわれる暴力を翼が必死に宥めようとするが、奏は何度も拳を振り下ろした。

 だが颯人が痛みを感じたのは最初の一発だけで、その後はどんどん殴る力が失われていった。

「バカバカバカバカバカッ!? お前、こんな無茶してッ!? あたしが、どれだけ心配……ぐすっ」

 拳を振り下ろす腕から力はどんどん失われ、気付けば彼女の両手は彼を殴る事を止め、力なく彼の両肩を掴むだけに留まっていた。

 そしてそのまま彼女は啜り泣く声と共に言葉を続けた。

「3年間も、一体何してたんだよ。ずっと、ずっと探してたんだぞ! 今になっていきなり出てきやがって…………無事なら、連絡の、一つ、くらい…………う、うぅっ!?」

 遂には言葉も続けられなくなり、颯人の体に縋り付く様にして涙を流す奏。

 今まで見たこともない彼女の弱々しい姿に翼はどうすれば良いか分からなくなり、ただただ黙って見ているしかできなかった。

 そして、颯人の方はと言うとそんな奏の様子に、申し訳なさそうに一度目を瞑るとそっと右手で涙を流し続ける彼女の頭を優しく撫でた。
 それはただ慰めていると言うよりは、自分の存在を奏に認識させているかのような撫で方だった。

「悪
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