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聖国のジルフリーデ 〜勇ましき姫と気高き女騎士と、男勝りな女戦士と妖艶な女盗賊は、媚薬の罠に乱れ喘ぎよがり狂うも、心だけは屈しない〜
屈服編 勇ましき姫は、快楽に狂い子を孕む
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う、うっさいなぁあ! さっきはちょーっと調子が出なかっただけだし! だいたいロザだってこないだ、ジルのお尻アタックに押し負けて河に落とされてたじゃんっ!」
「あ、あれは忘れなさい。私だってそういうことはたまにあるわ。しょっちゅうピンチになるあなたと一緒にしないで貰えるかしら」

 ぎゃあぎゃあと口論を始める、ベーナゼットとロザヴィーヌ。剣を振るいながら、そんな彼女達の「いつも通り」過ぎる姿に、ラフィノヴァは深々とため息をつく。
 一方で、ジルフリーデは「らしさ」を見失わない仲間達に、朗らかな笑みを溢していた。

「……全く、あの2人は……。この森を越えたら、もう城下町までは目と鼻の先だというのに。緊張感というものがないのか」
「ふふっ、いいじゃないですか。緊張で固くなってしまうよりは、ずっと頼もしいですわ。そんな彼女達に、私達は支えられてきたのですから」
「姫様……」

 それが姫君としての、次期女王としての懐の広さと受け取ったのか。ラフィノヴァは感激したように瞳を潤ませ、切っ先を震わせていた。

「ほらほらぁ、ラフィノヴァー! さっきから手が止まってんぞぉー!」
「ジルー! 今ならラフィもスキだらけよー!」
「う、うるさいぞベーナゼット、ロザヴィーヌ! そこで座ってるだけの貴様らに言われたくないッ!」

 そんな彼女の姿を目にした途端、ここぞとばかりに茶化し始める2人の仲間。その愛に溢れたイジリに声を荒げ、喚き散らす女騎士。
 この4人で旅を始めてからずっと、目にしてきた「いつも通り」の光景が、それであった。今までどんなピンチに遭遇しても、この光景を見ない日はなかった。

「……大丈夫。えぇ、絶対に大丈夫ですわ。あなた達と一緒なら、私は絶対に負けない」

 それこそが、ジルフリーデにとっては。この過酷な戦いを支える、何よりも大切な「希望」だったのだ。
 例え何があっても、自分達なら。どんな戦いにも必ず勝利して、「いつも通り」の景色を迎えられるのだと。

「さぁラフィ、試合再開ですわ! 今度こそ、あなたから1本頂きますわよッ!」
「……えぇ! 受けて立ちましょう、姫様ッ!」

 その希望を、豊かな胸の内に秘めてきたからこそ。聖国最強の女騎士と謳われた、ラフィノヴァを相手に――ジルフリーデは怯むことなく、剣を振るうのである。
 この4人なら、絶対に大丈夫だという確信を以て。最愛の母と、祖国を取り戻すための戦いに、臨めるのである。

 それから、約1週間後。アンジャルノン将軍が待つ、王城の前へと辿り着いた4人の女傑は。

「アンジャルノン……私達は必ず、あなたから母上と! この国を……取り戻して見せますッ!」

 ついに。運命の日を、迎えたのであった。

 ――だが。仲間達と苦楽を共にして、
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