黄金の大鐘楼
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
かし、神の力と謳い、空島全土を恐怖に陥れていた力を以てしても雷迎を止めることは叶わなかった。
エネルは凄まじい勢いで空島から追放され、天を突き抜け、大気圏から宇宙空間へと瞬く間に突入する。
「こ、こんな、馬鹿なことがぁ……!」
それでも尚アキトに押し返された雷迎の勢いが止まることはなく、宇宙空間の深部へと放逐されていく。
何ィ……!?
エネルが最後に見たのは背後に悠然と存在する月であった。
限りない大地、自身の悲願が遥か遠方に浮かんでいた。
「ガァア……!?」
そして遂に、エネルでも御し切ることが不可能となった雷迎が膨張を始める。
全身を走る想像を絶する痛みにもがき、精魂尽き、薄れ行く意識の中でエネルは過去を回顧した。
『"サトリ"に"シュラ"、神官を2人まで倒されたか。これは序盤から番狂わせだな、ヤハハハハ!』
『奴らもまだまだ甘い。どうやら青海人達の実力を見誤ったようだ』
『まあ、神の加護がなかったのだろう、ヤハハハハ!』
『明日、再びシャンディアを迎え撃ち、長きに渡る闘いに終止符を打とうじゃないか』
『気張れよ、お前達。神である私を失望させてくれるな』
青海人が空島に来た時点で事態を深刻に捉えるべきだった。
『その必要はない』
『神の地は奴ら、神官に任された地だ』
『此度の青海の猿共の件は、神官である奴らの不手際が招いた事態に他ならない』
『奴らの不手際は奴ら自身で刈らせろ!!』
エネルは知っていた。
青海人の連中は神官を撃破する程の実力を有し、いずれ神である自分に脅威になり得る可能性を秘めていたことを
『しかし、幾ら油断や驕りがあったとはいえ、青海の猿共などに無様に負けるとは……』
『サトリとシュラもまだまだ甘い……』
エネルは神としての矜持を先行し、あえて青海人の連中を放置した。
ゴロゴロの実の力を過信し、己の実力に絶対の自信を持っていた。
神である自分に敵うはずもないと高を括り、青海人のことなど気にも留めていなかった。
青海人の中にゴロゴロの実の力を無効化する男が2人もいることなど予想もしてなかった。
しかし、今だからこそ思う。
あの時青海人の連中を少しでも脅威だと捉え、万全を期してさえいれば……!
青海人が空島に来た時点で雷迎で全てを消滅させておけば……!
神官だけではなかった……!
本当に甘かったのは……!
エネルは己の愚かさを悔い、自身の悲願である限りない大地への想いを捨てきれないまま遂に心身共に限界を迎える。
雷迎はエネルとマクシムを巻き込み爆発し、エネルはその爆発の光の中へと姿を消した
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ