本編
本編3
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くなってきた私は、今日一日気になっていたことを聞いてみることにした。
「ねえ、私の心を盗むって、なんのことなの?そのままの意味じゃないんでしょう?」
少し直球すぎるかなと思ったけど、まあいいかという気持ちでそのまま尋ねた。昨日のあの人だとわかったことで、なんとなく親近感が湧いてしまっている。
彼は少し意外そうな表情で私を見ていたが、私は気にすることなくいくつも質問を投げかけていった。
「あ、それと、昨日はどうしてあそこにいたの? もしかしてお父さんの知り合いだったりする? あとやっぱり、予告状をいれたのってあのとき?」
いくつも出てくる疑問が抑えきれなくて、とにかく全て吐き出した。不思議なことがたくさんある。期待にワクワクした目で彼を見つめると、彼は少しポカンとしたあと、耐えかねたように吹き出した。
「好奇心旺盛なお嬢さんだ」
笑い混じりにそう言う彼を見て、私は少し恥ずかしくなって目を逸らした。
たしかに、ちょっと図々しすぎたかも……。
「ご、ごめんなさい……ちょっと、興奮しちゃって」
俯きつつ、それでも相手の表情を伺いながらそう言うと、彼は首を横に振って笑いかけてくれた。
「構いませんよ。しかし、残念ですが……それについては、次の機会にお答えすることにしましょう」
「え、なん……」
私がそう声を漏らした直後、大きな音と共に部屋のドアが開いた。警察の人が駆けつけたらしい。
そういえば、何かあったらすぐに呼べって言われてたっけ……。忘れていた。何も言ってないのに、どうして気づいたんだろう。
「キッドおおお! 毎度毎度眠らせやがって……今捕まえてやるからな! 観念しろ!」
大きな声で怒鳴る刑事さんを横目に、怪盗キッドはニヤリと口角を上げた。
「騒がしい犬が目を覚ましてしまったようですので、私は帰ることにいたします。それではまた、月下の淡い光の下でお会いしましょう」
そう言って私に微笑みかけると、彼はバッとマントを翻して窓の方へ歩いて行った。走ってやってくる刑事さんがもう少しで追いつくというところで、窓の外へ飛び降りてしまう。
「えっ!? お、おち……!」
驚いて窓の方に駆け寄ると、遠くの方に白く光る翼のようなものが見えた。月明かりに照らされて、その姿ははっきり見える。
「と、飛ぶんだ……怪盗キッド……」
「くっそおお!また逃げられちまった!」
ホッとしつつ窓の外を見ている私の横で、刑事さんが騒ぎ立てていた。いつのまにかその他たくさんの刑事さんが駆けつけ、そのあとでお母さんとお父さんが驚いた様子で部屋に入ってくる。
「また……会いにきてくれるのかな」
そんな騒がしい部屋の中、煌々と輝く月の光を見ながら、私は一人
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