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雪国
第五章

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「お前今八人前とか九人前とか言ったな」
「それがどうしたの?」
「十人前でそれだけか」
「そうよ」
「俺の分はないのか」
「お父さんはカップ麺よ」
 返事は一言だった。
「お家にあるの適当に食べてね」
「お前と母さんは特上寿司で俺はカップ麺か」
「あと支払いはお父さんだから」
「金までか」
「全部自業自得よ、わかったわね」
「そこまでのことか」
「だから女の人に禿って言うことは」
 このことはというのだ。
「それだけ酷いことなのよ」
「だからか」
「これ位で済んでよかったと思ってね」
「これ位か」
「そう、これ位よ」
 あくまでというのだ。
「そう思っておいてね」
「そういうことなんだな」
「じゃあね、お父さんは適当に食べてね」
「そして支払いはだな」
「宜しくね」
「わかったさ、もう二度とな」
 もうこりごりだ、正直そんな気持ちになっていた。
「言わないさ」
「そうしてね」
「ああ、何があってもな」
 こう娘に答えてだった。
「これで懲りたよ」
「わかればいいのよ」
 娘は俺に胸を張って言ってきた。
「丸坊主になってお金も使って反省したわね」
「ああ、本当にな」
「だったらね」
 それならと言うのだった。
「もう二度と言わないことよ」
「迂闊な言葉は我が見を滅ぼすな」
 俺は今このことを実感した。
「骨身に滲みてわかった」
「ええ、じゃあインスタントラーメン食べてね」
「若しなかったら買いに行けだな」
「そうよ、いいわね」
「よくわかったよ」
 俺は娘の言葉に頷いてカップラーメンを探してそれにお湯を入れて食べた、その後で寿司代を支払った。
 俺は次の日会社に出勤した、すると部長は俺の頭を見てクールに行った。
「自分への戒めとしないとな」
「そうじゃないとですね」
「今度はないからな」
 こう俺に言った、そしてだった。
 俺は仕事に戻ったが部下達は俺の丸坊主の頭を見てこれでわかったろうという話をしていた、そして俺は一年の間髪型はそのままでいた。
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