第一章
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雪国
女房が実家に帰った、すると俺は周りから一斉に言われた。
「すぐに帰ってもらって来い」
「絶対にお前が悪い」
「奥さんの実家まで行け」
「話を聞いていたらお前に問題があるからな」
「もうすぐに行って来い」
親戚も友達も会社の同僚も皆言った、高校生の娘に至っては俺を汚物を見る目で見てこんなことを言ってきた。
「お父さんが悪いからね」
「お前もそう言うんだな」
「あのね、女の人に禿とかね」
「実際に髪の毛急に薄くなったからな」
俺はふさふさで黒々としている、けれど女房の髪の毛はここ一年で滅茶苦茶抜けて地が見える位になっている。
「だからお前禿げたらなってな」
「お母さんに言ったのよね」
「それだけだと」
俺が認識する限りはだ。
「俺が母さんに言ったのは」
「あのね、だからね」
「女の人に禿はか」
「男の人に言うよりもね」
さらにというのだ。
「致命傷だから」
「そんなに悪いんだな」
「悪いも悪い」
それこそという返事だった。
「最低よ」
「俺は最低だったのか」
「皆言ってるでしょ」
「俺が正しいって言う奴いないな」
「当たり前よ」
家で俺に女房の実家である秋田県に行くチケットを俺の顔に叩き付けてきたうえでの言葉は続いた。
「誰が弁護するのよ」
「親友も兄さんもな」
いつも俺を庇ってくれる人達もだ。
「今回ばかりはな」
「お父さんが悪い、でしょ」
「そう言ってくるからな」
「当たり前だから」
それこそという返事だった。
「私だって擁護しないから」
「お前いつも父さん大事にしてくれるけれどな」
「それでも駄目なものは駄目よ」
「女の人に禿はか」
「あのね、男でも気にしてる人いるでしょ」
「よくいるな」
俺の周りでも結構いる。
「そういえば」
「そうなのにね」
「女の人はか」
「もっと気にするわよ」
「男よりもか」
「遥かにね、だから離婚されないうちに」
「離婚ってな」
幾ら何でもと思った、正直。
「言い過ぎだろ」
「言い過ぎじゃないわよ、最低の暴言だから」
「それでか」
「お母さんすぐにお父さんぶん殴って荷物まとめて出て行ったのよね」
「お前が部活に行ってる間にな」
日曜で休みの時にだ、俺は昼下がりふとあいつの頭を見て言った。本当に何でもないといった時のことだった。
「言ったらな」
「殴られても当然よ」
「暴力反対だろ」
「それは怒りの鉄拳よ」
暴力ではないというのだ。
「だからよ、いいわね」
「すぐにか」
「有給取ってでもね」
「部長に行ったら即座に有給取って行けって言われたよ」
課長の仕事が大変なのにだ、部下のOLの娘達もこの話には課長最低ですねと娘の今の目と同じ
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