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NARUTO日向ネジ短篇
【渇望】
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全体がズキズキと痛む。


「これよりお前はその額に刻まれし日向の呪印をもってして、宗家の者を命を懸けて守るのだ。……“籠の中の鳥”が逆らう事は、決して許されぬ」


 宗家当主の重々しい声が、頭の中に響いた。

……その後はぐったりした自分を父上が抱き上げ家まで運んでくれたようだった。

日向の呪印を幼くして受けたばかりの数日間は、まともに動ける状態になく高熱を出すほどに寝込んだ。父と母には、とても心配を掛けてしまった。

──三日ほどで体調は回復し、外へ出る際には額に包帯を巻くようになった。自分の額に禍々しい印が刻まれたのを鏡で見た時は、とても複雑な気持ちになった。父と母が前もって呪印の話をしなかったのは、まだ幼い自分には酷だからと思っての事だろう。

自分はこれから父と母や他の分家の人々と同じく、“籠の中の鳥”として生きなければならない。日向宗家に逆らう事は、決して許されない───



 宗家嫡子のヒナタ様が宗家当主と厳しい修業をされているのを父と共に拝見させて頂いていたある日、当主が急に父に向けて呪印を発動させ、父は苦痛の声を上げて頭を両の手で抱えもがき苦しみ、その際に額当てが外れ禍々しい額の呪印が露わになり不気味な色を増していた。

その時の自分は気づかなかったが、父は宗家嫡子に殺気を向けたらしくそれを察知した当主が父の額に刻まれた呪印を発動させたようだった。

当時父が日向宗家をよく思ってなかったのは何とはなしに察してはいたが、宗家嫡子に殺気を向けるほどだとは思わなかった。……いや、何よりも父があれだけ苦しめられた事の方が自分にとっては悔しかった。分家の父と宗家の当主は元は双子で、生まれた順が違っただけなのに。



 日向家はその頃妙に重苦しい雰囲気で慌ただしく、父も帰って来ない日もあって、何かあったんじゃないかと思いはしてもまだ幼かった自分には詳細を明かされる事はなかった。

ただ、父の様子が若干おかしい事には気づいていた。母に至っては、元々病弱だったせいもあってこの所病状が思わしくない。

 ──父はある日、いつも以上に自分に修業をつけてくれた。その後は、いつも以上に遊び相手になってくれた。それがとても嬉しいはずなのに、何故だかとても、寂しかった。


「ネジ……お前は生きろ。お前は一族の誰よりも日向の才に愛された男だ」

 大きくて優しい手を頭に置いてきて、何とも言えない表情で父はそう述べた。……そんな顔をしないで父様、何だか泣きたくなってしまう。

「お前を……宗家に産んでやりたかったなぁ」



 ───それから、どれくらい時間が経ったのか。

母はずっと泣いていた。その理由を、話してはくれない。

分かるのは、父はあの後、宗家の影武者として、
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