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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
第一話 復活と異世界召喚
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となくそんな気がする」

「ああ‥‥‥そうだ、他の人は?」

「みんな無事。怪我一つないよ」

「よし、とりあえずあそこにいるお偉い人みたいなのが状況を説明してくれるだろう。悪いが話を聞いててくれ。俺は少し考え事をする」

「了解だよ」

俺は思考を巡らす。とりあえずここが異世界だと仮定する。そしたら、この世界は危機に陥っていることになるはずだ。でなければ、わざわざ別世界から人を召喚する必要性はない。この中の誰かが、勇者だったとする。まあ、おそらく光輝だろう。そんな気がする。普通なら勇者に助けを求め、勇者が世界を救う‥‥‥で終わりだ。
しかし、今まで様々な漫画やアニメを見てきたので別の事柄も予想する。実はこの世界の神が、弄んでいるだけなのでは、という考えだ。

だが、馬鹿らしい気がしたのですぐに考えるのを止めた。俺たちはいつの間にか移動し、今は晩餐会のテーブルについている。

聖からだいたいの情報を聞き出した。どうやら想像してた通りの理由だったらしい。この世界がピンチだから勇者である俺たちに救ってくれ、とのことだ。

「おい、千秋大丈夫‥‥‥じゃねえか」

「コウ‥‥‥怖いよ。なんかあの人たち、狂信者みたいだったし‥‥‥」

「ほう‥‥‥」

「そうだね‥‥‥ちょっと怖かった」

若芽も同意する。このことに気がついたのは、俺たち五人だけらしい。いや、聖も含めて六人だ。

とりあえず目配せをして、「今は落ち着いて寝よう」とだけ伝える。

俺たちは晩餐後、それぞれ部屋を割り当てられた。俺は南雲と同じ部屋だ。

「南雲‥‥‥‥お前はどう思う?」

「この世界のことかな?それなら‥‥‥あの人たちは少し怪しいかな。狂信者の気がする」

「流石だな。俺もそう思ってるところだ」

「天之河くんたちは信じきってるみたいだし‥‥‥嫌な予感がするかな」

「ああ‥‥‥無事、帰れるといいがな」

そのまま意識をブラックアウトする。脳裏には、親の顔を浮かべながら‥‥‥‥。

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