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雲に隠れた月は朧げに聖なる光を放つ
前章2 崩壊は肉体まで
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「えー、本日皆様は‥‥‥」

校長先生の声が響く。俺は見えないように欠伸をしながら聞き流す。俺は今日、中学校に入学したのである。

あの事件(聖の敵討ち事件)の後、俺は転校した。事件の詳細は学校がもみ消し、俺には同情的な視線が集まった。イジメっ子の親からは慰謝料みたいのを貰った。が、俺は元いた学校そのものが嫌だったので、転校&引っ越しをすることになったのだ。まだ一年生だった弟は引き続き元の学校に通い、俺は新しい学校に通うのだった。

新しい学校は、元の学校と違って良い学校だった。俺みたいなはみ出し者でも受け入れてくれたのだ。それから短い期間ではあったが良い友達もでき、俺は卒業したのである。俺はこの時、かなりの人間不信だったのだが、新しい友達とは特に問題はなかった。

そんなわけで俺は現在、眠たそうな顔をしながら入学式を終えたのだった。

「よう、緋鷹」

「おう、林」

‥‥こいつは林 拓人。一家揃っての音楽家だ。小学校時代からなぜか仲が良かった。音楽会でこいつは指揮を取っていたのだが、なぜか目が合って言いたいことが分かるという奇妙な巡り会わせを感じたのである。極めつけは卒業式で、立ち位置的に端と端だった俺と林はここでも目を合わせ、頷き合いそのまま帰りは合流するという意思疎通をした。

「クラス俺ら別じゃん。お前大丈夫そうか?」

「バカにすんなよ。緋鷹こそ大丈夫なのかよ」

「さあね」

本当にさあね、だ。俺の転校先から来た人も多くいるのだが、ほとんどは知らない人だ。

(また暴走だけはしたくねえな)

そう、俺が危惧しているのは「暴走」だ。ここまでは特になにも起きていないが、偶に見る不良に殺意が芽生えるのだ。というかあらゆる悪に対して殺意が湧く。

(やれやれ‥‥とんでもねえモンだ)

ちなみにこの暴走。身体能力が上がるだけではなく、思考能力も拡大するのだ。これだけなら常時発動させたいところだが、しっかりと弱点もある。暴走=凶暴性が増すので、結構危険だし疲れるのだ。

(ハイリスクハイリターン‥‥‥なのかな)

そんなことを考えてると、いつの間にか担任の先生の自己紹介やら教科書の配布やらが終わっていた。もう下校できるそうなので、俺は林のいるクラスまで行く。

「おい、帰ろうぜ」

「おうよ」

そのまま帰路につく。

「クラスはどうだ?」

「やべえよ、嫌いなやつがめっちゃいる」

「草」

どうやら小学校のときから嫌いだった人が多くいるらしい。ご愁傷さまである。

その後はマンションのエントランスホールで雑談をし、俺は体操の練習があるので雑談はお開きとなった。

(さて‥‥これからどうなることやら)

俺はこれからどうなるか検討もつかないまま、練
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